笠ひろふみ衆議院議員 RYU HIROFUMI official website
国会質疑
162-衆-文部科学委員会-16号 平成17年08月03日


○笠委員 民主党の笠浩史でございます。よろしくお願いをいたします。
  きょうは、二つのことについてお伺いしたいんですが、まず最初に、今中教審の方で議論をされております義務教育のあり方について、この問題についてまず先にお伺いをしたいと思います。
  先ほども午前中の質問等でも、大臣、秋までにこれはまとめるという方針のもと、今作業を進められていると思うんですけれども、今後の具体的なスケジュールなんですけれども、中教審に今諮問されて、当然その答申が出てきて、これを受けてどういう形で文科省として、もうそのまま例えば来年の通常国会へ向けて必要な法整備なりをやっていくのか、その辺についての文科省としてのスケジュールをまず伺わせていただきたいと思います。

○銭谷政府参考人 御説明を申し上げます。
  中央教育審議会義務教育特別部会は、昨年の政府・与党合意を受けまして、義務教育のあり方について、ことしの秋に結論を得るべく議論を今精力的に進めていただいているわけでございます。この七月の十九日に審議経過報告のその二というものを出しまして、先般五月に出しました審議経過報告その一とあわせまして、この二つの審議経過報告をもとに、今、一日中教審の開催でございますとか、この審議経過報告に対する各界の団体等の御意見をお伺いしながら、秋の審議に向けて作業を進めているところでございます。
  今後、こういったヒアリング等を終えまして、いわば委員同士の審議をまた再開いたしまして、この秋に結論を得て、それに基づいて所要の措置がとられると思いますので、その結果を踏まえて、その内容に盛られた所要の事項について必要な制度改正等について文部科学省としては取り組んでいくということになろうかと思っております。

○笠委員 今、各界のまた意見を聞きながらということがありましたけれども、これは先般、審議経過報告ですか、この中にも出ておりますけれども、「今回の審議経過報告を機に、国民各位が義務教育への関心をいっそう高め、活発な議論を展開してくださることを期待したい。」というようなことで締めてあるわけでございます。
  今、文部科学省としてホームページの方にもこの取りまとめについて掲載をして、国民から意見を聞くというようなことをやっているようでございますけれども、現在どれくらいの数の意見が来ているのか、まずそれを教えてください。

○銭谷政府参考人 文部科学省では、この審議経過報告につきまして意見募集を行っております。現在、八月一日現在でございますけれども、意見といたしましては、手紙、はがき等で百六十八通、メールで百四十二通、ファクスで十六通、合計三百二十六通の御意見を今のところお寄せいただいております。
  意見募集につきましては、文部科学省のホームページ、パンフレット、政府広報等で今周知をして、さらに幅広く意見を募集しているところでございます。

○笠委員 今の数、こんなものしか国民は興味がないのかということですよね。というよりも、私はそれは違っていて、まずこういう大事な義務教育に関しての議論が行われているということを全く知らないんですよ、普通の人たちは。先ほど局長は政府広報と。郵政の民営化はあれだけでかでかと政府広報して、この前文科省の、ありましたね、何か小さい、どこに載っているのかわからないような。要するに、それをホームページに載せていても、そこにアクセスしない人は知らないわけですし、もっと徹底をしていかないと広く国民の声を聞くなんということ、意見を聞くなんということはできないと私は思うんですけれども、その辺について、さらに多くの方々に議論を喚起していくための方策というものをお考えなのかどうかをお聞かせください。

○銭谷政府参考人 ただいま先生お話ございましたように、この義務教育の問題について広く国民世論に対して御意見を伺い、国民の間で十分御議論いただくということは大変重要なことだと私ども思っております。現在、団体ヒアリングや一日中教審、さらにはスクールミーティングなどを通じて、中教審あるいは文部科学省自身、いろいろ会議の場に出向いてお話を伺っているわけでございますが、あわせて、ホームページを開いたり、先ほど申し上げました意見募集を行ったり、あるいはパンフレットをつくりまして、それをお配りしてまた御意見を伺う、いろいろなことをやっておるわけでございます。
  私どもといたしましては、さらにこういった広報活動、広聴活動についていろいろ工夫をしながら、一層その充実に努めていかなければいけないというふうに思っているところでございます。具体的な内容としては、やはりもう少し広く国民の間にこういう議論が浸透するようなやり方について十分、余り時間もございませんけれども、考えていかなければいけないというふうに思っております。

○笠委員 今から考えても、恐らくやらないんでしょうね。
  私、このパンフレット一つとっても、これはどこで配っているんですか。

○銭谷政府参考人 このパンフレットにつきましては、各教育委員会、それから各種の会議、これはPTAの会議とかいろいろございますけれども、そういうところで幅広く配るようにしているところでございます。

○笠委員 文科省の幅広くと私の認識をする幅広くというのがちょっと違うのかもしれませんけれども、PTAだとか、PTAといっても多分全国のPTAじゃないでしょう、恐らく。その幹部の方でしょう。あるいは教育委員会に渡すだけじゃなくて、こんないいんですよ、ぜいたくな、何が書いてあるかわからないような、カラーのものじゃなくてもいいから、この半分ぐらいのサイズで、もっとわかりやすく。
  例えば、今回の義務教育のあり方に関する検討というのも、では義務教育は本当に九年でいいのかどうかとか、いろいろな議論がされていますね、五歳から入学させたらどうだとか、あるいは先ほど来議論にもなっている教育委員会のあり方がどうだとか、学校の評価についてとか。私は、なるべく幾つか本当にわかりやすい具体的な問題提起を両論併記でもいいからやって、そして、多分恐らくは当委員会の議員の先生方皆さんそうだと思うんですけれども、やはり選挙区で、地元でいろいろな方と話すと、教育というのは皆さん関心を持たれているし、それぞれ考えがあるわけですよね。そうすれば、例えばそういうわかりやすいパンフレットをつくって、学校単位で、例えば保護者の方々とか、もちろん学校の先生もそうでしょうけれどもそういう方々、もっと言えば子供たちにだってわかりやすいようなそういうものをつくって、お金をそんなにかけなくたってできるんですよ。別にカラフルじゃなくたっていいんですから、活字は大きくわかりやすく。
  やはりそういうようなことをもっとやっていくというようなことをしないと、いつも国民の意見を幅広く幅広くといっても、結局は中教審が取りまとめて、そして国民の議論になっていく前にもう法案の審議ということになって、そこから方向をがらっと変えるようなことはなかなか難しい、その繰り返しなんですよね。
  コミュニティ・スクールのときにも私は指摘させていただきましたけれども、地域の方々が学校をしっかりと、自分たちで新しい学校づくりをしていこうというような、私はあの法案自体はまださらに進化させないといけないと思っていますけれども、いろいろなことができるようになった。でも、知らないんですよ、そういうことを。
  だから、今回、この義務教育の基本にかかわるこれだけ大事なテーマを幾つもやっているわけですから、まさに私は、広報活動をどうやったらそういう議論が沸き起こってくるのかということをもっと真剣に考えてもらわないと、いつまでたったってこれは形だけの国民の意見を聞くになってしまいますよ。
  大臣、その点いかがでしょうか。

○中山国務大臣 自分が文部科学大臣ということもあるかもしれませんが、昨年の秋からこの教育問題に関して非常に国民の関心が高まっているなということを実は感じております。
  今、スクールミーティングのことを局長が申し上げましたけれども、スクールミーティングでも保護者から本当に真剣な質問等も飛び出しますし、また、タウンミーティングというのを今内閣でやっていますけれども、いろいろなタウンミーティングの出席者を私はチェックしているんですけれども、やはり教育問題に関するタウンミーティングは飛び抜けて参加者が多いということもあるわけでございます。
  それから、今自民党の方でも、なぜ今教育改革かというしおりをつくりまして、十万部以上つくったんじゃないかと思うんですけれども、私はそれをさらに、PRのこともあったんですけれども、自分の顔写真を入れまして、一万部以上つくってあちこちにばらまいているんですけれども、やはり非常に関心が高まっているということ。
  これは、昨年末の世界的な学力調査の結果で日本の学力が低下傾向にあるということで、国民の皆さん方もやはり危機意識を持たれているということもあると思いますし、義務教育費国庫負担制度がどうなるかというようなこともありまして、これまで以上に国民の関心は高まっていると思っていますが、今御指摘のように、まだまだという見方もあるかもしれません。
  やはり、関心のある方は関心がありますけれども、教育なんか関係ないよという方もいらっしゃいます。特に、私は、もう既に自分たちは子育てを終わったんだという、そういった方々もぜひ教育問題に関心を持ってもらいたいということをいろいろなところで申し上げているわけでございますが、ひとつ教育改革を国民運動として、みんなが関心を持っていただくような、そして、これからの教育をどうするんだ、日本の将来をどうするんだということについて、もっともっと国民の関心が高まるように我々も努力していかなければいけないと思いますけれども、どうか民主党におかれましてもよろしくお願い申し上げます。

○笠委員 御心配なさらなくても、民主党はそれぞれやっておりますので、それはいいんですけれども、ただ、やはりこういう意見を、自分たちの意見が求められていると。本当に求めているんだったら、あえてそういう言い方をさせていただきますけれども、やはり三百人ぐらいの人しか関心がないということはないはずですよね。これも、「郵送または電子メールにて、下記までお送りください。」なんて書いているんですけれども、こういう意見を求められているということすら、恐らく九割以上、いやいや九九%近い人は知らないんじゃないんですか、普通の人は。そうやって文科省、だって三百人ぐらいしか来ないわけですから。
  だから、そういう実態をしっかりと、そういう意見を本当に聞くということを、ただ単に、この手の話をするときは必ず国民の意見を聞きましょうというようなことだけでなくて、格好をつけるためにやるんじゃなくて、やはりしっかりとそれを告知していく、あるいは本当にこういうパンフレットを配付して、そして広く求めていく、そういうことをぜひ前向きに早急に取り組んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○中山国務大臣 今、委員が、先ほどはもう遅いんじゃないかということを言われましたが、決して遅いということはないと思いますし、この中教審の結論といいますか、大体この秋までに出ることになっています。それをもとにしまして、できることから改革を進めていこう、そして、再来年、十九年の三月ごろをめどにして、教育改革全般について推進していきたい、こう考えていますから、ぜひそれに向けて、御指摘もありましたので、文部科学省の広報活動を一層力を入れていきたい、このように考えております。

○笠委員 よろしくお願いします。特に、秋の中教審の結論、これはあくまで中教審の結論が出るわけでございますから、そこで出た結論をもとに、恐らくは幾つかのテーマについては、まず、方針を決める前にやはり国民の声というものをしっかりと聞いていくという姿勢も求められていくと思いますので、ぜひその点についてはお願いを申し上げたいと思います。
  それで、きょうはもう一点、先ほど午前中、達増委員の方からも冒頭に指摘がありましたように、高松塚古墳の壁画が劣化をしたという問題についてちょっと質疑をさせていただきたいと思います。
  先ほど達増委員の、これは文化財行政が根本的に問われる問題だ、私もそういう同じ認識をしております。そして、それに対して大臣が、これまでその都度最大限の努力で対処してきた、原因が解明されていないけれども、これからはしっかりと万全を期していく、今回のこういう措置、一度石室を解体して、そして壁画を取り出して、別の場所でこれを修復し、また保存をしていくというようなこの方針について、厳しく受けとめているという発言がございました。
  ただ、私は、大臣、本当にその都度最大限の努力で文化庁は対処してきたのかどうかというところを非常に今回疑わしい、そこが私は若干大臣とは認識が違いますので、まずその点から幾つか質問させていただきたいと思うんです。
  今回、この遺跡というのが、これまで、本来であればその場で保存をしていく、あるいは、現地で古墳と壁画というものをしっかりと一体として残していくことを基本としてきたのが文化財保護の基本的な理念であるというふうに私は認識をしておるんですけれども、その点について、まず文化庁としてはどういう認識なのか、お聞かせください。

○加茂川政府参考人 お答えをいたします。
  委員御指摘の高松塚古墳壁画の保存につきましては、昭和四十八年当時に保存対策調査会でいわゆる保存方針、原則が決定されたわけでございます。現地保存という大原則でございました。文化財はあるべきまま現地で保存をするという考え方でございまして、基本的には、この原則を今も私どもは維持しておるわけでございます。
  大臣の答弁にもありました、今回の恒久保存方針の決定につきましても、古墳を切り崩して石室を取り出すという、いわば大変非常手段を用いるわけでございますが、特別史跡の現状変更という解釈の中でぎりぎり解釈、運用できる範囲内ではないか、原則を守りながら対応がとれるのではないかと考えておるところでございます。

○笠委員 今次長おっしゃったように、これは本当に文化財保護法に照らしてもぎりぎりの解釈、つまりは言いかえるならば、本来はこういうことはあってはならない、もう本当にここがぎりぎりの決断だったということなんでしょうけれども、きょうは、その文化財保護法について触れるかどうかという議論をするつもりはございません。ただ、これは一言申し上げておきますけれども、私は、かなり拡大的な解釈ではないかという気がしております。
  それで、そもそも一九七二年三月に発見をされて、古墳が特別史跡ですよね、そして壁画は国宝という中で国として文化庁が、これはまず本当の確認なんですけれども、この責任者というのはどこになるんですか。この最終的な責任、文化財を保存していく、保護していく責任というものは文化庁でよろしいでしょうか。

○加茂川政府参考人 お答えをいたします。
  文化財の保護、管理でございますから、文化庁が担当する責任を負うことになります。

○笠委員 今回、こういうふうにぎりぎりの状況までなったということでございますけれども、これまで、例えば劣化をしていないのか、あるいは今カビの問題というものもこれは大きな要因の一つでございますけれども、こういう点について、どういう形で文化庁としてはこれまで調査をし、そしてそのことをしっかりと公表してきたのかどうか、その点についてお聞かせください。

○加茂川政府参考人 高松塚古墳壁画の保存につきましては、実はこの保存作業といいますのは、委員も十分御案内のとおりでございますが、これまで全く未経験の領域の作業を強いられたわけでございます。いわば試行錯誤を繰り返しながら、その都度最善と思われる方策で対応してまいりました。大臣の答弁にもございましたように、その時点での保存科学の研究成果を十分に踏まえながら最大限の努力をして、その都度適切に対応してきたと私どもは考えておるわけでございます。
  これまでの点検等の作業の概要を申し上げますと、少々長くなりますが、お聞き取り願いたいと思います。
  四十八年当時、専門家等の有識者のさまざまな検討の結果、先ほどの現地保存という大方針が決まったわけでございます。発見当時の環境でそのまま保存することがこの壁画にとっては最善の方策であるとされたわけでございまして、私どもはこの大原則のもとに、それ以後、方針に沿って保存対策を進めてきたわけでありますが、基本は壁画の保存修理という観点から、カビの除去対策でございますとか、それから、しっくい層の補強と剥落どめの措置を逐次行ってきたというのがその大要でございます。
  具体的には、大きな修理が三度行われてございます。これまでも、何度も何度も試行錯誤でございますが修理を繰り返してまいりました。第一次修理は主に調査と剥落どめが中心でございましたが、昭和五十一年度に、四十八年度に発見されましたけれども、五十一年に既に第一次修理を行っております。これは二週間程度の作業を六回行いまして、最も緊急に対応を要する部分の保護措置を重点的に行ったものでございます。
  それから、第二次の修理。これはカビ対策が中心でございましたが、昭和五十三年度から五十五年度にかけて、十日間程度の作業を毎年四回実施いたしました。
  それから、第三次の修理でございますが、これは五十六年度から昭和六十年度にかけまして剥落どめ中心の作業を行いまして、これは四日間程度の作業を年一回実施したものでございます。
  こういった一連の修理作業の成果もございまして、それ以後は若干落ちつきが見られたものですから、昭和六十一年度以降は、基本的に年一回の点検を行いまして、その際に問題があると判断した箇所の剥落どめを実施してまいりました。
  こういった点検作業をこれまで逐次重ねてきたというものでございます。

○笠委員 今、昭和六十年以降は、要するにそれまでのいろいろな苦労が実って大体うまくいっているというようなことで、年一回の点検で済ましてきたというようなことなんですけれども、実態は全然違っていたわけですよね、全く。むしろ、緊急的な対応をしないといけないような状況に、この遺跡が、壁画がなってしまっていたということについて、私は少々認識が甘いんじゃないか。
  例えば、早い段階から色があせたりあるいはカビが生えたり、いろいろな形での劣化が始まっていた。ただ、これは完全に非公開として保存をされてきましたから、国民は知る由がないんですね。まさに文化庁が情報を独占してきているわけですよ。だから、国民からすれば安心して、もちろんこれは別に文化庁の遺跡じゃないですから、文化庁の文化財じゃないわけですから、国民の財産ですよね。それをまさに文化庁が一手に調査あるいは管理を引き受けながら臨んできたということなんです。
  では、これはたしか昨年の六月ぐらいだったでしょうか、大きな問題になってきたのが四月でしたか、今日のような状況になるということは、全く予測としてはできなかったのか、そういう危険性という指摘はなかったのか、これまでの文化庁の中で。その辺についてはいかがでしょうか。

○加茂川政府参考人 お答えをいたします。
  まず、その昭和六十年以降の安定期について、委員から御指摘がございましたので補足をさせていただきますが、毎年の点検を行っておりました際には、一部カビの発生も六十年当初に見られておりますけれども、総体としては異常ない、カビの大きな発生等は見られなかったという事実確認ができてございまして、六十一年以降十年余りの安定期について申しますと、実態を実際に把握した上で、今から振り返ってみますと、現状のように急激に悪化をするということは、この時点では想定できなかったことはやむを得ないのではないかと思っております。
  ただ、十三年度以降について申しますと、いろいろな原因があるわけでございますが、十三年度に石室前方での工事を行う際に、その作業でカビの防止対策が必ずしも十分でなかったことが引き金となって、または、それまでいろいろ修理を行っております際に使われました薬品の影響があったり、そのほかにも異常な気温の上昇でありますとか、カビとか小さな生き物の食物連鎖の思わぬ進行でありますとか、さまざまな要因が加わっておりましたために、この十三年度以降急激に、それまで平衡状態を保って、カビの増殖等についていいますと抑える環境にあったものが急に悪化をしたという急激な変化が見られたわけでございます。
  これが予想できなかったかどうかということについて申しますと、今から申しますと、先ほど申し上げました六十一年度以降の十年間の安定期を前提に考えますと、予想のできないような大きな変化であったと私どもは考えておるのでございます。
  また、二点目でございますが、こういったことについての情報公開が不十分ではなかったかという指摘を受けたわけでございますが、私どもとしては、今思いますには、例えば毎年ベースで、もしくは毎年でなくても、定期的にこの古墳壁画の管理に関する情報を国民広く一般に提供すべきであったという反省点を正直持っておりますけれども、これまで情報公開に全く手をこまねいていたばかりではないのでございます。
  一つ、これまで、発見当時から現在までの点検結果、作業結果を含めました経緯、その全体につきましては、随分遅くなってからではございますけれども、平成十六年の八月に、去年の八月に、この恒久保存対策の検討会に対してすべての資料をまとめて報告いたしまして、公表しておるところでございます。
  さらに、それに先立つことでございますが、昭和六十二年には報告書、これは写真も含まれておるものでございますが、報告書を刊行いたしまして、それまでの応急処理が一応の進捗を見たことを踏まえた報告、すなわち公表を行っておるものでございます。昭和六十二年にまとまった報告をさせていただいておるというのが私どもの認識でございます。
  また、写真集等のレベルで申しますと、平成十六年には発見から三十年を経た保存状況を公表するという趣旨のもとに、高画質の撮影機器を用いた写真集として報告書、いわば報告書になると思いますが、題名は「国宝 高松塚古墳壁画」を刊行して公表しておるところでございまして、回数が少ないではないかとおしかりを受けるかもしれませんけれども、その都度できるだけの情報公開には努めてきていたところでございます。

○笠委員 今、るる次長おっしゃったんですけれども、その平成十三年以降急激に悪化した、それは予想できなかったことである、予想以上ということなんでしょう、多分、初めてのことでと。ただ、そのときに、本当にこれは大変なことだという認識を文化庁として持っていたのかということを私は指摘したいわけですよ。
  これは、次長、ちょっとお伺いしますけれども、その十三年度以降もうこれは急激に悪化して、そこあたりから、これは大変なことだ、劣化が進んでいるという認識を持たれたということで間違いないですね。これは文化庁として持っていたわけですね、そういう認識を。

○加茂川政府参考人 お答えをいたします。
  そのとおりでございます。十三年度以降に黒カビ等悪質のカビが広範に広がり繁殖をいたしまして、この時点では大変な事態に立ち至ったという認識を持ちました。持ったがために、緊急対策の検討会議を立ち上げたわけでございます。そこで議論していく中で、この緊急事態に対応する方法についても検討して、大臣の答弁にもございましたが、今回の方針決定に結びつくわけでございます。

○笠委員 今、そういう認識を持った、さらにしっかりと情報公開、悪い話も含めてきちんとしてきたということをおっしゃるんだけれども、先ほど次長おっしゃった、これですよね、「国宝 高松塚古墳壁画」、ここに、私は、きょうちょっと文化庁長官がおられないので次長にお伺いしますけれども、最初の巻頭のところにあいさつの、最初の頭のところに河合さん、文化庁長官の名前であいさつ文みたいなものが載っていますよ。その中に、驚くことに、「前例のない壁画の保存・管理は決して容易なものではありませんでした。幸い、三十年を経ても壁画は大きな損傷あるいは褪色もなく保存されておりますが、」と。
  全然違うじゃないですか。これが出たのは去年ですよ。平成十三年にはもうそこまで悪化しているという状況を認識していたわけでしょう。これはどういうことなんですか。これはどなたが書いたんですか。

○中山国務大臣 御指摘の写真集でございますが、これは壁画の全体についてそのままの写真を公開することによりまして、本壁画発見後三十年を経た現在の状況を公表し、広く国民の皆様に御理解いただく趣旨のものとして刊行したものでございます。
  この写真集の序言によりますと、本壁画の保存事業は、厳しい環境のもとで前例のないカビの除去と防止を繰り返す大変困難なものであったことも明らかになっていると承知しております。
  ただし、今御指摘がありました部分につきましては、私もちょっと読んでみましたけれども、必ずしも丁寧な説明がなされていると言えず、あるいは誤解を与える表現だったという御指摘については、これは理解できるところであります。

○笠委員 私は、これは本当に難しいと思うんですよ。初めてのケースで、だれがやっていたらもっとよかっただろうとか。ただ、僕は本当にこの文化財の保護ということに関しての文化庁の体質というか取り組む姿勢、その危機感というものが欠けているんではないかと。
  もう去年こういうものを発行したんだったら、そこで、いろいろと頑張ってきた、けれども、なかなか困難をきわめて、こういう形で残念ながらやはり劣化をとめることができなかったというようなことを正直に書けばいいじゃないですか。だって、翌年のことしに、解体までしないといけない、そして壁画を取り出さないといけないというような事態を招いているわけでしょう。これが出たときに、もう全然これが今のこのような大きな損傷とか退色もなくということであれば、まあ、ことしこういう事態になっていませんよね。
  そこあたりをしっかりと反省してもらわないといけないんですよ、国民の皆さんに向かって。いかがですか。

○加茂川政府参考人 お答えをいたします。
  大臣の答弁にもございましたように、委員御指摘のこの序言部分だけを見ますと、確かに十分そのカビの現状、壁画が劣化しているという厳しい状況を踏まえた表現にはなっていないという受けとめ方をせざるを得ないわけでございます。
  この序言全体をごらんいただきますと、その管理作業が決して容易ではない、困難な作業である、カビの発生も見られるんだということを記述してございますから、趣旨としましては、文化庁が三十年以上管理をしてまいりましたが困難な作業でございましたということは伝えておるわけでございますが、委員御指摘のように、この部分だけを見ますと、国民に正しい説明責任を果たしているか、情報提供ができているかということについて言うと、本当に反省すべき点があろうと思っておりますし、これを踏まえて、以後改めるべき点はきちんと改めてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  ただ、同時並行で、先ほど申しましたが、この十三年度以降の急激な変化について対応を検討しておりましたその緊急対策の検討会、あるいはそれを踏まえての恒久対策の検討会はこれと同時に十六年からスタートするわけでございますが、その場では、現状を詳しく、発見当時からのデータも踏まえて報告をし御審議をいただいてきたわけでございまして、決してその情報について文化庁がこれを、適切な言葉ではありませんが、隠ぺいするとか隠すとか、そういう気持ちは全くなかったということもぜひ御理解をいただきたいと思います。

○笠委員 私は、この決定がされたときに、恐らく多くの国民の皆さんが、え、どういうことなんだという思いを持ったと思います。テレビのニュースでも報じられました。
  それで、そのときに、このことについてちょっと私確認なんですけれども、解体をする、こういう非常事態宣言、本来であればやりたくない、だれもやりたくない。けれども、そうしなければ壁画が守れない。しかし、壁画を守るためにこの特別史跡、この古墳をやはり一度壊していくということになるわけですよ、一部であるとはいえ。これはもう壁画を守ることありきで、やはりそれを最優先しての措置だと私は認識をしております。
  それの是非は別としましても、そういう事態を招いたということで、文化庁長官なりあるいはこれは大臣なのか、文化庁長官、当然文化庁長官がきちんとした形で記者会見なりをしておわびをしましたか。ちょっと確認させてください。

○加茂川政府参考人 お答えをいたします。
  委員が御指摘のような形での会見はまだ実施されておりません。
  私どもの考えは、何度も答弁を申し上げておりますが、これまでの三十数年間のうち、その時々にできる知見を前提に、研究成果を前提に、大変困難な作業を、実はその作業現場、詳しく申し上げて恐縮ですが、幅が一メートル、高さが一メートル二十、その長さにしても一間半ぐらいしかない狭いところで、人が二人入ったらもう身動きがとれなくなるようなところで、湿度一〇〇%での作業、本当に汗、血のにじむような努力をして、その修理作業に担当者は当たってまいりました。
  ですから、この間何もしていなかったという非難を受けること、それは行政全体の不十分さからくるのかもしれませんが、作業に当たった者たちにとっては大変耐えがたい厳しい指摘かと思ったものですからあえて言わせていただきました。
  この間、そういう努力をしてまいりましたのは、そのときできることはすべてやってきたんだ、しかし、残念ながら結果として、原因は全部解明できておりませんけれども、国民の貴重な財産について十全な保全ができなかったという重大な結果をもたらしたことについて、そのことについては大変、どういう表現をしたらよろしいのか、本当に遺憾とか残念に思っている、その気持ちは持っておるわけでございますが、果たすべき責任を果たさないで、なすべき行為をなさないでこういった結果をもたらしたのかということについては、私どもは違った考え方を持っておるわけでございます。

○笠委員 私は、これまでいろいろな作業あるいは調査に当たられてきた方には敬意を表しますよ。
  そうじゃなくて、文化庁として、先ほど言ったじゃないですか、この保護に当たる責任者は文化庁なんでしょう。当然ながらそのトップの方が、僕は責任をとれとかそういうことじゃなくて、しっかりとやはりおわびをしなければいかぬでしょう。
  そして、当然ながらそのときには、今後こういうことが起こらないように、やはりできるだけ早急に、先ほどきょうの午前中、大臣の答弁でも、いろいろなこの原因というものは考えられるけれども、まだ確信を持って言えるものまではわからないと。しかし、それをやはり急いでしっかりと調査をして、そして、こういうことが原因だった、問題だったんだということを説明していくという姿勢が感じられないということを私は申し上げているのですよ。個々のだれのせいとか、そんなことを言っているわけじゃない。
  それで、一つ私指摘したいのは、ちょっと文化庁というものに対して、あのレコードの、CDの著作権の問題のときもありましたけれども、オープンに議論するという体質がないんですね。オープンに議論する。
  ことしの五月十一日に検討会でこの方向性が示されましたね、壁画を取り出すというところの。ただ、その後、そのためには、国民の大事な財産だから、当然ながら国民の合意が必要だということを一応は言っていた。けれども、わずか一カ月半で決定するわけですよ、この石室の解体が。この間、ではどういうふうな形で国民の合意形成を図っていったんですか。その点について。
  もう一点。作業部会というものがこれまである程度の方向性を決めてきているのですけれども、これは完全に非公開の中で実施されているんですよ。私、この審議会については、検討会については、審議の内容というものはいただきました。私、作業部会でこれまでこの一年、二年、どういう議論があったのかということをぜひこの際見てみたいと思って、それをいただきたいと言ったら、ないと言うんですよ。どういうことなんですか。しかも、そこでいろいろな実験はもうやっていたわけでしょう、予算を使ってこの解体を進めるに当たっての。そういう決定もしている部会じゃないですか。なぜそれを公開してやれないのですか。
  そういう体質が、だから、文化庁というのは何か隠ぺい体質があるんじゃないかというふうに誤解を招くような、見られがちな、やはりそういう役所であるというふうに私は思えてしまうわけですよ。その点についてお答えください。

○加茂川政府参考人 お答えをいたします。
  本件に関しましての情報公開、説明責任の履行について申しますと、先ほども申しましたように、私ども、正直、反省すべき点があったと思っておりまして、今後、こういった責任の履行については十分改めてまいりたいと思っておりますし、国民の皆様に広く意見を求めることも含めた機会の提供については意を用いてまいりたいという気持ちを持っておることをまずお伝えしておきたいと思います。
  それから、今回の大方針の決定につきましては、恒久対策の検討会で、作業部会から上がったさまざまなデータ、検討資料をもとに、石室の取り出し、解体という方針を決定する前に、一たんその結論を見送って、一月ほど時間をあけたわけでございます。六月二十七日まで、一月期間をあけたわけでございます。
  そして、この間、もちろんマスコミ等でも報道されましたから、国民の関心も高まっていたということが前提で、ホームページで国民の意見を求める機会も提供したこともございまして、私どもは、この期間で広く国民の合意形成に役立つ機会は提供された、十分かどうかという御議論はあろうかと思いますが、そのための工夫はなされたのではないかと考えておるものでございます。
  また、二点目、もともと文化庁には物事を隠す体質があるのではないかという趣旨の御指摘がございました。特に作業部会の審議にかかわってのことであったと思いますが、この作業部会での審議の内容、そこで検討されました事柄、用いられたデータ、整理されたものは、私ども検討会にすべて上げておりまして、作業部会で上がったことを何か隠すとか一部見せないようにするといったことは考えてもおりませんし、実際にも検討会において、作業部会本体ではありませんけれども、作業部会から検討会に資料の提供、課題の整理の作業を提出する際にすべて上がっておりまして、検討会を通じてオープンになっておるのだという認識でございます。
  それならば、作業部会からなぜオープンにしないのかという御指摘かと思いますが、作業部会自身は、専門的な事項について、専門家にも加わっていただきまして必要な調査研究をする。データの整理でありますとか、先ほど実験のこともおっしゃっていただきましたが、そういう技術的なことの論点整理をして、検討会での意思決定、正式な決定に役立つ作業を請け負う、その責務を担うものでございます。ここで物事を決定する場所ではないわけでございます。作業部会での検討やデータを隠すということでは全くなくて、いわば親会議である検討会議に持ち上げて、すべての情報は公開されておるんだということで御理解をいただきたいと思います。

○笠委員 ここでもう作業部会の結論というものが、大体この検討会で、この壁画の取り出しありき的な議論が続いてきているわけですよ、この検討会では。やはりデータを持っている本当の専門家は作業部会にいるわけですから、なかなかそれに反論できない。あわせて、検討会のメンバーというのは文化庁関係者、OBの方が多いわけですよ、半分以上そうじゃないですか。
  だから、こういう初めてのことだから、やはりそういう情報をオープンにして、いろいろな有識者がいるでしょう。私は、こうした遺跡をどうやって保存していくのがいいという専門知識はありません。しかし、全国にはたくさんのそういう専門的な知識を持っている人だっているわけですよ。だから、そういう方々の意見もどんどん聞けるようにもっと、これまだ早くても〇七年一月でしょう、今後の作業がスタートするのは。こんなに拙速に決定する必要ないんですよ、たとえ結論が変わらなかったとしても。
  ですから、私は、その進め方というものについて若干の疑念がどうしても生じるし、もうちょっと時間がなくなってきたので、あと二点ばかり確認したいんですけれども、地元の明日香村の方でもこれは大変な問題になっているようで、地元の議会の方で特別委員会をつくられたりとか。
  それで、確認なんですけれども、修復作業を地元でやってほしい、そして、修復した後は、十年ぐらいかかるということですけれども、きちんともとの場所にしっかりと戻してほしいというような声が強いと伺っていますけれども、こうした要請がまた文化庁の方にも来ているということですけれども、これについては、そういう地元の声を大事にしていくということでよろしいわけですか。

○加茂川政府参考人 お答えをいたします。
  地元明日香村からの要望については私ども承知をいたしております。修復後の壁画の扱いについてでございますが、恒久保存対策の方針の中では、壁画の修理が完了した後は、カビ等の影響を受けない環境を確保した上で石室を現地に戻すこと、こうされておりますので、この方針に基づきまして、あとは具体的な方法を検討する必要があろうかと思いますが、この原則に従った対応をすることになるわけでございます。

○笠委員 二点。それと、この修復後に文化庁の方としては公開をすることを前提にというようなことをどうも方針として示されているようですけれども、こういうことを本当にそんなに安易に約束できるのかどうか。そして、壁画を取り出すときに一〇〇%傷つけないという自信があるのかどうか、そのことをお答えください。

○加茂川政府参考人 二点お答えをいたします。
  一点の修復後の公開についてでございますが、現時点では確かなことを申し上げることができません。と申しますのは、修理はこれから始まるわけでございまして、修理状況をまず勘案しなければなりませんことと、先ほど申しましたように、原則は石室をもとに戻すわけでございますから、戻す方法等にもよりまして、その公開ができるのかできないのか、できるとしたらどういうことが可能なのかといったことをこれから検討することになろうからでございます。
  それから、石室を解体する場合の作業の安全性についてのお尋ねもございましたが、これから実施作業工程案を具体に作業部会に依頼をして検討していくことになるわけでございますが、大きく三つの工程がございまして、そのうちの第一番目が石室の解体工程でございます。いろいろな準備をしなければなりませんけれども、一番大きな解体実験を十分に行って、壁画の損傷が起きないように、または最小限のダメージで終わるような十分な準備をしたいと思っております。
  一〇〇%という御質問もあったわけでございますが、こういった準備を十全に行って、国宝、国民の宝であるこの壁画を少しでも十全な状態で守るべき十分な準備をしたいと思っております。

○笠委員 時間が来たので、最後、一つだけ御質問して終わりますけれども、本当に文化遺産というのはかけがえのない国民の財産で、また、後世にしっかりと残していかなければなりません。今、今後も作業部会でいろいろなことをやりながら、そして実際の作業に入っていくということですけれども、ぜひ作業部会を含めて、その辺はすべてオープンに公開をしていくように、そして広くまたそういう意見も承りながら進めていくように、その点を約束していただけますか。もうイエスかノーかでいいです。

○斉藤委員長 時間が来ておりますので、簡潔に。

○加茂川政府参考人 お答えをいたします。
  作業部会を含めました公開についてでございますが、特に作業部会につきましては、検討会での議論への影響等も考えながら、できるだけ、例えばいわゆるブリーフィングでございますとか、マスコミを通じた公開方法の工夫について努力をしてまいりたいと思います。

○笠委員 一〇〇%の約束ができないんだから、しっかりとそこあたりの情報公開はしていただきたい。文化庁の中だけで、関係者の中だけで議論が進められることだけは絶対にやらないように、そのことを念を押しまして、私の質問を終わらせていただきます。