笠ひろふみ衆議院議員 RYU HIROFUMI official website
国会質疑
163-衆-本会議-5号 平成17年10月06日

○笠浩史君 民主党の笠浩史でございます。
  私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提出の郵政民営化関連法案及び民主党松本剛明君外提出の郵政改革法案について質問をいたします。(拍手)
  去る八月八日に参議院で否決された政府提出の郵政民営化法案が、民営化の開始時期を半年延期するなどの技術的な修正を除いて、ほとんどそっくりそのまま我々の眼前にあることに対しては、強い違和感を覚えます。民営化法案が参議院で否決されたにもかかわらず、同法案を可決した衆議院を解散した小泉総理のこの行為は、解散権の濫用とも言えるのではないでしょうか。
  内容的にも、国民の大事な金融資産である郵貯、簡保の三百三十兆円の資金が官から民に流れない政府案では、国民のための郵政改革を目指す我々としては、何十回提出をされたとしても断固として反対をするだけでございます。(拍手)
  総選挙のさなか、小泉総理は、今回の解散は郵政解散であり、郵政民営化の法案への賛否を問う選挙だと繰り返しました。しかし、私が大問題だと思うのは、総理自身も、自民党、公明党の両党も、郵政民営化が改革の本丸だと言いながら、政府案の言うこの民営化がどのような内容で、そして、それがどうして日本全体の構造改革につながるのかについては、国民に具体的に説明しようとしなかったことです。
  例えば、自民党のマニフェストには「郵政民営化に再挑戦」と書かれていますが、その内容たるや、たった一行、「参議院において否決された民営化関連六法案を次期国会で成立させる。」とあるだけです。これで政府・与党の進めようとする民営化の中身を理解しろといっても、しょせんは無理な相談でした。
  なぜこのようなことを言うかといえば、小泉総理の言う郵政民営化法案の内容が、民営化なのか何なのか、いまだにわけのわからないものだからです。
  当初は、政府が一〇〇%出資する持ち株会社のもとに四つの子会社をぶら下げ、郵便と郵便局については将来も持ち株会社の一〇〇%出資、郵貯銀行と郵便保険会社については十年後に株式を全額売却すると言っていました。しかし、自民党内での反発もあって、法案修正などにより、政府が株式を間接保有し続ける道が残りました。
  つまりは、政府案が実現しようとしているのは、政府の関与が残るいわば半官半民会社であるわけです。
  竹中郵政担当大臣、あえてそれを民営化と呼んでいるのが実態ではありませんか。いかがですか、明確にお答えください。これでは、不良品の詰まった箱に封をして、そのふたに優良品と大書して国民に売ったようなものではありませんか。(拍手)
  一方、民主党の郵政改革法案は、我が党の主張である郵貯の規模縮小を具体化し、経営形態についても官と民の役割分担をすっきりとした形で示しています。すなわち、郵便と決済、少額貯蓄は官、保険については完全に民、このように非常に明確になっています。単に民営化なら何でもよいという単純な考え方ではなくて、郵政改革法案の基本理念、この点について具体的に説明をしていただきたいと思います。また、国民にとって安心の法案とうたっていますが、どこが安心なのか、その理由についてもお答えください。
  思えば、民間にできることは民間にが小泉総理の口癖でした。その意味は、裏を返せば、民間にできないことは官でやるとなります。誤解を恐れずに言えば、官と民の役割をはっきりさせ、民がやるべきことは完全に民にやらせるこの郵政改革法案の方が、その境界をあいまいにしたままの政府案よりも小泉総理の考え方に沿っているのではないでしょうか。
  なお、国民の間には、官のやり方にはむだがあり、さらには、効率的な経営ができないのではないかという不安があります。郵便と少額貯蓄を公社や公社の子会社のもとに置くといっても、決して現状維持であってはなりません。この民主党の案では、公社及び公社の子会社で経営する部分の効率化をどのように担保しているのか、法案提出者に質問いたします。
  さらに、保険会社の完全民営化について確認しておきたいことがあります。
  改革はスピードが命です。民主党案では、政府案の十年に対して五年で全株式を売却するとしていますが、その理由について説明を求めます。政府案の場合、株式完全売却に十年もかけ、しかも、その後で買い戻しを可能とする骨抜き条項が入っています。その点をどう取り扱っているのか、あわせてお答えください。
  政府案の最大の問題点の一つは、民業圧迫のおそれが非常に強いということです。先ほどの説明では全くわかりません。大手都市銀行七行分の資金量を持った銀行と、大手生保四社分の資金量を持った生命保険会社が、金融以外の新規業務もどんどんできるようになるわけです。しかも、これらの新会社には国の関与が残ることになり、いわば、国の信用をバックにした巨大な会社が既存の民間マーケットを荒らしまくるといった構図が出現することにもなりかねません。
  そこで、竹中大臣に質問をいたします。
  政府案では、四つの新会社が既存の民業を圧迫することをどうやって具体的にチェックするのか。くれぐれも、政府案は民営化するのだから民営化会社が民業圧迫ということはあり得ないなどという詭弁を弄することのないようお願いいたします。
  政府は、これまでの審議でも、都合の悪い質問をぶつけられると、いつも、民営化委員会で監視するといって逃げているのが常でした。しかし、今現在存在していない、そして、だれが委員になるのかもわからないこの民営化委員会に責任転嫁するなど、無責任も甚だしい話です。政府案の論理が破綻する部分はすべて民営化委員会というブラックホールにほうり投げ、前国会で百九十時間の審議をやり過ごしたのが小泉総理や竹中大臣の実態だったことを、今私は改めて思い出します。(拍手)
  一方、この民主党案では、限度額の引き下げなどによって郵貯を縮小したり、保険業務については分割した上で完全民営化するなど、民業圧迫に対する目配りがきいているように思われます。民業圧迫を回避するためにどのような工夫がなされているのか、保険会社を分割する理由も含め、提出者に質問いたします。また、さきの総選挙中に私ども民主党は、マニフェストに郵貯を半減させることを掲げました。これに対して与党の一部から批判が出ましたが、資金量の縮減がしっかりと実現できるという点についてもあわせて説明をお願いいたします。
  なお、民主党案に記載されている郵貯の預入限度額引き下げについては経過措置が設けられ、現在の郵貯利用者の利便に配慮していると理解しております。また、保険業務についても、既存の簡保の契約に従ったサービスは新会社を通して平成十九年十月以降も受けられること、そして新会社は、ほかの民間保険会社と同じように新規商品を取り扱えることになっていると伺っております。この三点について、利用者に無用の不安を起こさないためにも、きちんとした説明が必要です。提出者にそれを求めます。
  次に、資金の流れの観点から質問いたします。
  郵政改革の最大の目的は、郵貯、簡保を通じて集められた三百三十兆円という巨額の民間資金が特殊法人に流れて、しかも、その相当部分がむだ遣いをされたり国の赤字の穴埋めに使われて財政規律を緩めるなど、この現状を正すことにあるはずです。
  その点、政府案では、いわゆる民営化後の資金の規模やその流れがはっきりしません。特に貯金部分については、政府案では、民営化へ向けて徐々に預入限度額を引き上げ、そして最終的には撤廃することとしています。常識的に考えれば、郵貯銀行は収益拡大のために預金量を拡大していくことになるでしょう。しかも、再三申し上げておりますように、郵貯銀行にしても郵政保険会社にしても、その資本や経営に国の関与が残る可能性が非常に強いために、いわゆる民営化会社は国債の固定的な買い手となるおそれが懸念されます。
  竹中大臣、これでは、幾ら分社化して看板をかえても、資金の流れは大枠において変わりません。これのどこが民営化なのか、具体的にお答えください。(拍手)
  他方、民主党案では、郵貯の規模縮小と簡保の完全民営化によって現在の資金の流れが大幅に変わり、官から民へが実現するものと思われます。この点について、法案提出者に対し、より具体的な説明を求めます。また、各社に対して財投債の購入を禁止していることについても、そのねらいと実施方法についてあわせて質問をいたします。
  次に、この民主党案において、郵便事業を行う郵政公社と金融業務を行う郵便貯金会社の事業性について質問させていただきます。
  民主党案は、官と民の役割分担を明確にしており、郵政公社と郵便貯金会社については国が責任を持つということです。つまり、万一、事業の継続性が危ぶまれるような事態になった場合に、セーフティーネットとして税金投入もあり得るということだと理解をしていますが、それでよろしいのでしょうか。確認をしたいと思います。
  ただし、税金投入はあくまでセーフティーネットでなければなりません。税金投入先にありきでは、国民の納得は得られないばかりか、経営規律も緩んでしまいます。
  そこで問題となるのが、郵政公社と郵便貯金会社の採算性です。民主党案では、二〇〇九年十月以降の両社の採算性、事業継続性をどのように見込んでいるのでしょうか。郵政改革法案の提出者に質問いたします。特に、郵便貯金会社の収益は、その資金規模によって大きく左右されることになります。法案では、十年後の貯金残高が幾らになることを想定しているのでしょうか。また、郵政公社にあっては新規業務を行うことが可能であるのか否かについてもあわせて質問をさせていただきます。
  私ども民主党は、前原誠司新代表のもとで、主要な政策課題について堂々と対案を示し、そして改革競争を挑んでまいります。今回のこの民主党の郵政改革法案は、その嚆矢となるものです。総理は、審議も始まる前から法案修正はしないと言っているようですけれども、今回の選挙で、小泉チルドレンとも称される多くのイエスマンの登場により生まれた巨大なこの与党が、数の力におごることなく、郵政民営化の中身が与野党間で徹底的に審議をされ、そして国民のための真の改革が実現することを多くの国民は求めております。
  十分な時間をとって、真摯に、かつ活発な議論が行われることをここに強く求めて、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
     〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕