笠ひろふみ衆議院議員 RYU HIROFUMI official website
国会質疑
164-衆-文部科学委員会-18号 平成18年06月09日

○笠委員 どうもお疲れさまでございます。民主党の笠浩史でございます。
  きょうは、この学教法の改正、そして、特別支援学校、この教育をどうしていくのかというようなテーマで審議が始まっておるわけですが、きょう、委員会の冒頭で、私も民主党の取りまとめの責任者として、また本院の自民党の鈴木委員らと、海外の文化遺産をしっかりと守っていこう、そして、その修復へ向けて日本として国際協力をしていくんだというようなことが全会一致で可決され、先ほどの本会議で、委員長の提案で、衆議院でもまた全会一致で可決されたということを大変喜ばしく思っております。
  そういう日でございますので、最初に幾つか、しばらく教育基本法の審議で文部科学委員会の方も開かれておりませんでしたので、これからそういう振興に責任者として当たっていく文化庁をめぐる問題で二つほど、この際聞かせていただきたいと思います。
  一点は、実は私、昨年のこの委員会でも、夏に、七月でしたか、質問させていただいたんですけれども、高松塚古墳の問題なんですね。あれが残念ながらカビなどの損傷で、石室を解体してそして保存をするというような、非常にこれは残念な結果になっているわけですね。
  そうした中で、先般四月に、この高松塚古墳壁画が〇二年の一月に文化庁の担当者らがカビの除去作業中に機材に接触して、それを転倒させ、傷つけられるというような事故が実は発生していたんだと。しかも、その後に、これは三月ごろになるんでしょうか、その修復作業を行っていたということが明らかになったわけですね。
  なぜこの間、公表をしてこなかったのか。まさに文化遺産というもの、しかも国宝でございます、これは国民の財産でございますので、本来こういうことがあっちゃならないんですけれども、やはり人がやることなので、ミスというものは私はあると思うんです。昨年の議論の中でも、石室の解体という決定に当たって、文化庁の情報公開というものが全くなされていないということで、随分私もこの委員会でやらせていただきました。にもかかわらず、今回もそういうことを公表していなかったと。
  私は、昨年ああいう問題になったんだから、その後、本当にいろいろなことがあったんじゃないかということを、調査会を含めて調べたと思うんですね。だったら、マスコミに出てくる前にわかったはずなんですよ、それは。
  それをなぜまた四月になって突然発表をされるのかということが非常に信じられない思いであるわけでございますけれども、そういうことであるなら、やはり文化庁の体質が隠ぺい体質なんじゃないかという、国民の不安あるいは疑問というものがあると、せっかくこの国会でいい法律をつくっても……。
  まさにこれから外務省と一緒に、文化庁が率先して海外の遺跡、遺産などについてもしっかりと文化財保護の先頭に立っていただかないといけないわけですね。だから、どういうことでこういうふうな公表がおくれることになってしまったのかということを、まずちょっとお答えをいただきたいと思います。

○加茂川政府参考人 お答えをいたします。
  平成十四年一月のいわゆる壁画毀損事故についての情報公開が不十分であったと御指摘でありますが、これにつきまして、当時なぜ、きちんと公表すべきであったにもかかわらず、その原因等に究明が進んで、公表するに至っていなかったのかにつきましては、現在、調査委員会で調査中でございまして、私どもその調査結果を待っているところでございます。
  ただ、一部調査が進んできておりまして、ブリーフィング、マスコミ等に公表されたところによりますと、この事故が起きた前年に、取り合い部における崩落どめ工事のカビ対策が不十分なために外部にカビが発生をいたしました。それをきっかけとして内部にカビが大発生をいたしまして、このカビの除去対策、防止対策に大変追われておった、そういう背景の中でこの事故が起きたということは少なくともわかっておるわけでございますが、その詳細、なぜきちんと整理をして公表しなかったかについては、なお調査が今進められておるところでございまして、この報告書は今月の中下旬にまとまると聞いておりますけれども、その際に明らかになるんだろうと考えておる、期待をしておるわけでございます。
  また、情報公開について、昨年八月でございましたが、委員から御指摘を受けたわけでございまして、私どもこれまで、高松塚古墳壁画について申しますと、情報公開が十分ではなかった、説明責任がきちんと果たされてこなかったという反省の上に立って、きちんと改めてまいりたいと申し上げたわけでございます。
  それについて申し上げますと、例えばその後につきましても、関係する検討会議を、公開を引き続き行うことでありますとか、いろいろな、石室を取り出してこれから緊急の対策をするための準備を進めておりますが、その準備状況につきましても広くマスコミの公開に応じてきておりますし、何よりことしの一月に地元の説明会を行ったわけでございますが、そういった努力をして情報公開には努めてきておりますことも御理解いただきたいと思っております。
  もう一点、なぜ十四年一月の事故についてこれまでもう一回すべての資料を点検して公表しなかったのか、マスコミに取り上げられる前に自分から公表できなかったのかということを、もう一度考えを整理してみましたら、私どもこういう認識をいたしておるのでございます。
  すなわち、マスコミに取り上げられることになりましたこの毀損事故は、いわゆる作業点検日誌に記載されておったわけでございます。この作業点検日誌は、この古墳壁画の保存管理の情報を細かく記述したものでございますが、いわゆる情報公開請求、開示請求といった形で、それまで数回私どもは開示、公開をしてきたことがございました。ですから、認識としましては、既に公開をしておる資料であったという認識を持ったわけでございます。
  ただ、この中に、事件、事故、オープンになっていない事故が含まれておりまして、今思ってみますと、重大事故であるにかかわらず何できちんとした課レベルでの共通認識を持って対応しなかったのかという反省はございますけれども、そういう認識であってこういう状況に立ち至っておりますことも御理解いただければと思うわけでございます。

○笠委員 今、マスコミに公表されたところによりますととか、随分他人事な物言いだなと思うんですけれども。だから、本当に文化庁が率先してやらなきゃいけないんですよ。
  それで、一点、ちょっと事実関係を確認しますけれども、昨日、私、文化庁の方から事情を聞きました。そしたら、今おっしゃった日誌ですか、東京文化財研究所の日誌ですよね、そこに書いてあったので、文化庁としては把握できていなかったんだという説明を私は受けたんですけれども、当時、しかし、実はこの所長であった渡邊さん、この方がちゃんとインタビューの中でも、当時の文化庁の担当課長と文化財部長まではきちんと報告が上がっていた、報告をしているというようなこともおっしゃっているんですけれども、当時報告は受けていなかったんですか。どうなんですか、受けていたんですか、この事故のことについて。それもイエスかノーでお答えください。

○加茂川政府参考人 この毀損事故についてどこまで報告がどのようになされていたかの詳細については、繰り返しで恐縮でございますけれども、調査委員会で今事実関係を調査中でございます。
  ただ、これまでの調査で明らかになったところによれば、課内に、課長レベルまできちんとした報告が上がっていたということは確認をできておるわけでございます。

○笠委員 何というのかな、私、去年の議論のときにも思ったんですけれども、もう四月から一カ月以上たっているわけですよ。そういう事実関係なんて、該当者がいるんですから、聞けばすぐわかるじゃないですか。私は、この問題を取り上げたら、それぐらいは確認を、きちっと事実関係ぐらいは当然ながら次長が把握をされているという前提でこの審議に臨んでおりますので。何も細かいことを聞いているわけじゃないですよ。一番核心の部分なんですよ。報告がきちっと上がっていたのかどうか。では、なぜそれが、当時の上まで上がっていなかったのか。
  その後の、どうやってそれを修復するのかということまで文化庁の方に相談をしているわけでしょう。では、だれがどういう形でその判断をしたのかということについて把握ができていないということは、これはやはりおかしいですよ、全く。こういうことが、だから体質だというんですよ、個人の問題ではなくて。
  しかも、個人的に、この所長さんであった渡邊さんという方が、この方も今回、責任を大変感じられていて、高松塚古墳の石室解体の検討会、その座長ですか、これをやめられたんですよね、みずから申し出られて。
  そういう中で、私はあと二つだけちょっとお伺いします。これから本当の再発防止へ向けてどうやって取り組んでいこうとお考えなのか。これは調査会がやる話じゃないですから。そして文化庁としての責任、再びこういう形で問題を隠していたという、不信感を招いてしまったということに対する、また国民の財産に対して、遺産に対して傷をつけてしまったということについての責任をどのように考えられているのか、あるいはどうやってとるのか、そのことについてお答えいただきたいと思います。

○加茂川政府参考人 この毀損事故を教訓としまして、私どもがどういう改善策を講じていくべきか、また見直しを図っていくべきかにつきましては、繰り返しで恐縮でございますが、その調査委員会の報告書を待って子細に検討したいと思っておりますが、現時点で申し上げられますことは、何より私どもがその情報公開についてまだまだ至らない点があった、不十分であったということを重く受けとめておりまして、その再発防止に向けては情報公開を徹底して図ることがまず第一の課題なんだろうと思っております。どういったレベルで、どういった詳しい手続を経ながらということも検討していきたいと思っております。
  それに加えて、再発防止策、あるいは、先生、文化庁としての責任ということもおっしゃられましたけれども、これは今調査委員会が事実関係につきまして整理をしておられますので、私どもに厳しい結果になるかもしれませんけれども、それをきちんと受けとめた上で、第二、第三の改善策、対応策について真摯に検討してまいりたいと思っております。

○笠委員 大臣、社会保険庁と同じことになりますよ。このまま、こんなこと。
  もう一つ、文化庁にはこの後聞きますけれども、こういう体質をしっかりと指導していくということはやはり大臣のリーダーシップにかかっていると思うんです。こうした再発防止、あるいはだれかしらが責任をとるというような、一つのけじめのつけ方ということも大事だと思うんですけれども、いかがか、ちょっとお答えください。

○小坂国務大臣 御指摘のように、今回の高松塚の一連の問題に関しましては、やはり、文化財保護のプロとしての文化庁に国民の皆さんが期待をしている、その期待に対して、適切に行われていないのではないかという疑念を招いたということは、非常に大きな問題だと私は思っております。今後多くの文化財、国民の文化遺産である文化財を保護していく立場の文化庁が信頼を失ったときには、これは大変なことでございますから、今回のこの一件をまずは徹底的に調査して、その病巣がどこにあるのか、それをしっかり把握したい、そう思って、この問題発生以来、徹底した情報公開をしなさい、それから調査委員会についても、意見を述べる人が意見を述べやすい環境はつくりつつも、その結果は、聴取したことについては明確に全部これを公表していきなさいという、情報公開の指導をしてまいりました。
  この調査会の報告も、大体今月の末ぐらいまでには取りまとめをさせたいと思っております。この取りまとめをしたところで、明らかになった事実に基づいて、責任の所在が明らかになり、その責任を認識することができましたら、その責任はしっかりとってもらう。その責任体制を明確にした上で、必要な処分があれば、それは処分をさせていただくということで、この病巣を断ち切ってまいりたい、このように思っております。

○笠委員 私も、今大変安心をいたしました。大臣が同じような思いで、そうやってしっかりと指導に当たるということで、期待しております。
  それで、もう一点、今大変世間をというか、社会的にも大きな問題になっているんですけれども、芸術選奨の文部科学大臣賞をめぐる和田義彦さんという方の、ひょっとしたら盗作だったんじゃないかというような疑惑が大きな問題になって、しかも、この芸術選奨というのは大変な権威のある賞だと私は思っておりましたけれども、今、その権威すら非常に危うい状況になってきているわけでございます。きょうはその事実関係を確認させていただきたいんです。
  小坂大臣が、たしか一日の記者会見ですか、その中で、迅速に調査をするということを発言されておりますけれども、現在のその調査状況。一枚の紙にまとめていただいたこの経緯の部分についてはいいんですけれども、この調査を具体的にだれがどうやって調べているのかということ。そしてまた、一カ月とかからずに、なるべく早く発表したいということを大臣の方ではおっしゃっていましたけれども、この調査結果を国民に発表できる見通しというのはいつぐらいになるかということをあわせてお答えいただければと思います。

○小坂国務大臣 この問題については、一日の日に一部の記者の方が私のところへ来まして、一カ月ぐらいかかるということだけれども、そういう状況で進んでいるんでしょうかと、こういうお問い合わせがあったものですから、私は、そんなに長くかけるつもりはない、こういった問題は迅速に対応しないと信頼をさらに失うことになる、そういうふうに申し上げたところ、それが記事になりまして、また、翌日の記者会見、二日の記者会見で、そのことについて同じような質問がございまして、述べたところでございます。
  それは、すなわち、今回の一件は、非常に作品同士が似ておるわけですね。これは素人目にも、時系列的に見ると、以前の作品を後に発表された方が模写したのではないかと思われる疑いが非常に強いわけですね。そういったことから、こういった問題を放置することはよくないと私は思いましたものですから、迅速にこの調査を進めるようにということで直ちに指示を出しました。
  実は、記者に問われる前にもうその指示は出しておるわけでございまして、その時点で、関係の方々からの意見を聞くようにという指示とあわせて、第三者の芸術選奨の審査会のメンバー以外の、いわゆる美術界における有識者の方の意見も第三者意見として聴取をするようにという指示も出しておりました。それをあわせて迅速に対応するべきだと思っておりまして、最終的には、五日の日に芸術選奨審査会を開催するように指示を、指示というよりもお願いをした結果として、審査会の方で五日に開くということを決めていただきました。したがいまして、それに間に合うように関係者の、両氏のそれぞれ弁明書と、それから意見書といいますか、意見を述べられたことに対するサインを取得して、そして審査会の資料として提出できる態勢を整えたわけでございます。
  五日の日に審査会が開かれまして、和田氏の作品にスーギ氏の作品の盗作と見られてもやむを得ない多くの作品があると判断をされて、そして和田氏の画家としての独創性、いわゆるオリジナリティー及びモラルに重大な疑問を抱かざるを得ないということで、この審査会は、芸術選奨文部科学大臣賞の取り消しをすべきだという結論を出していただきました。私は、その審査の結果を重く受けとめまして、その結果に従いまして芸術選奨の文部科学大臣賞取り消しという手続を行ったわけでございます。したがいまして、五日の日にその手続は私は行っておりまして、それをもって発表と同様にその調査結果は御理解賜りたい。そのように芸術選奨の中でどういうふうに審査会としての結論を出されたかというのは審査会の方で発表されましたものですから、その後、文化庁の担当課も発表、記者会見に応じておりますので、その後、私の結論も発表させていただきました。
  それに基づいて行政手続法の手続に従って、いわゆる行政手続として賞の授与を取り消すわけですので、それに従った手続を今進行させていただいたところでございます。

○笠委員 大臣、一つだけ確認。
  では、大臣が発表されている調査結果は、この結果をもって、その後の発表をもって終わりだということでよろしいんですか。

○小坂国務大臣 行政手続法の手続に従いますと、もし当事者から不服審査申し立てがあれば、それに応じるということになりますが、期間内にそれがなければ、これで確定するということになる、こう了解をいたしております。

○笠委員 ちょっと文化庁の方にお伺いしたい。
  これもやはり再発防止というか、こういうことは当然初めてのケースですよね。大臣も、みずからが出された大臣の賞ですからね。
  これも二、三、ちょっと確認したいのは、この和田さんという方がマスコミなどには盗作ではないと相変わらず述べていられるわけですね。文化庁としては、当然ながら、五日の決定を受けて、審査会がこの賞を取り消すということを文書で発送したということなんですけれども、ということは、文化庁としては盗作だということの判断の上に立っての結論ということでよろしいでしょうか。

○加茂川政府参考人 ただいまの大臣のお話にもあったわけでございますが、六月五日に開催されました臨時の選考審査会において、本件の経緯でありますとか、双方からの意見の申し出、聴取事項、あるいは第三者的立場にある美術専門家の見解など、こういった文化庁としての調査結果を説明して御審議を願ったわけでございます。
  その結果、おおむね三点の結論が出たわけでございます。大臣の答弁と重なる部分がございます。
  第一点は、和田氏への贈賞、賞を贈る主な理由となった和田義彦展出品作品等について、イタリア人画家、スーギ氏でございますが、スーギ氏の作品と構図、色彩、モチーフなど基本的な点で一致していると判断できること、これが第一点でございます。
  それから二点目は、和田氏が、構図は似ているけれども、空間、マチエール、材質が違うなどと主張したわけでございますが、この主張については合理的で説得力のあるものとは判断できないというのが二点目でございます。
  そして三点目、まとめの部分になりますが、これらスーギ氏の作品の盗作と見られてもやむを得ない作品群の存在は、和田氏の画家としての独創性及びモラルに重大な疑問を抱かざるを得ず、同氏の作歴及びその評価について見直さざるを得ない、この三点の結論でございます。
  すなわち、盗作か否かについては、申し上げますと、結論部分に見られましたように、盗作と見られてもやむを得ないというのがこの審査会の結論でございまして、私ども文化庁としましても、この審査結果、判断を尊重したということになるわけでございます。

○笠委員 四日の日に、当事者の和田さんという方が、みずから賞を返上したいというような意向を文化庁の方に伝えてきたということでございますけれども、私、このようなケースで、なぜこの選考委員会はその選考の過程においてこういうことがチェックできなかったのか、あるいはどうしてこういうふうな形になったのかと、そこの方が実は非常に大事だと思っているんですね。それを見抜くことができなかった。
  なかなかこれは難しいと思うんですよ。推薦委員とか選考審査員の方というのは、顔ぶれを見ましても、本当にそれなりの方々が並んでいるんですけれども、そうした方々に判断材料というものはそんなに提供されるわけではございませんから、だから、事前にこうした盗作疑惑というようなことが、今までは性善説の上に立って、そんなことはあり得ないというような前提でやっていたとは思うんですが、やはりあってはならないことなんですね、二度と。ですから、そういう意味で、再発防止に向けて、これからどういう形でこの審査のあり方、選考のあり方というものを見直していかれるのか、今文化庁として検討されていることを説明していただけるでしょうか。

○小坂国務大臣 御指摘のように、私もこの選考過程というのは非常に重要だと思っておりますし、選考のあり方というものに対しての再検討を加えるべきだと思っております。
  したがいまして、今回、和田氏の方から返上というお申し出もございました。しかしながら、初めてのことでありますが、このような権威あるものがうやむやになってはならないと思いましたものですから、審査会を開いてしっかりとした結論を、手続的にしっかりと踏まえて、結論を出していただく。
  それとともに、そういった結論を得るとともに、ここの授賞に至った経緯の方も再度調査をして、その中で手続的に補完すべきものがあればそういった手続をさらに加えること、それから、人選面においてもバランスをしっかりととることと、それから、情報収集面においてより広い知見を求める方法がないだろうかという視点から、選考のあり方というものについて、文化庁に再度それをしっかりと検証するように今指示を出しておりまして、それによって得た結論に基づいて新たな選考方式を策定させたい、このように考えているところでございます。

○笠委員 この芸術選奨という権威ある賞が、今回の一件でその権威が損なわれ、まさに安っぽいものになっていかないように、担当の大臣でございますから、やはり新たな審査のあり方。
  今小坂大臣もおっしゃったんですけれども、この手の、芸術とか文化とかというものにかかわる選考というのはやはり難しいんですよね。一般の人ではなかなかできないし。それがゆえに、非常に閉鎖的な中での選考が、もう限られた人たちの中で選ばれていくようなことが、往々にしてありがちでもありますので。
  もちろん専門家というものが加わらなければ、なかなかそのよしあしというものはわかりませんし、それは素人では判断はつかないわけでございます。やはりその経緯の中においてしっかりと、二度とこういうことが起こらないように、透明性のある体制というものを、また来年ということになるでしょうから、ぜひ早急に取りまとめをお願い申し上げて、小坂大臣の任期中に遅くとも出していただけるように、お願いを申し上げたいと思います。
  それでは、きょうの学校教育法の改正案についての質問に移らせていただきたいと思います。
  きょうも午前中から、あるいはこれまでにも参議院の中でも、さまざまな質疑が行われてまいりました。その中で問題点というものが大体明らかになってきたと思うんです。
  今回の法改正で、確かに盲・聾・養護学校が特別支援学校になります、あるいは、障害を抱える子供たちやその保護者にとって、これが非常に適切な、いろいろなニーズにこたえる形での教育支援が受けられるんだというようなことがうたわれているんですけれども、具体的に実際どのようにその効果が、保護者や子供たちにとって、学ぶ環境がよくなるのか、その点を少し簡潔に、わかりやすく、これなんだということをまず冒頭にお伺いしたいと思います。

○小坂国務大臣 現行の盲・聾・養護学校の制度は、基本的に障害の種別ごとの学校制度であるわけでございます。これらの学校に在籍する児童生徒の半数弱が重複障害、具体的に言いますと四三%という統計もございますが、重複の障害をお持ちだということでございます。
  こうした状況を踏まえまして、今回の改正におきましては、児童生徒の障害の重複化に適切に対応することができるように、障害種別の盲・聾・養護学校の制度を弾力化して、特別支援学校という制度に組みがえをする、組みがえというよりは、制度へ移行する、創設と言った方がよろしいかもしれません。
  地域のニーズに応じた特別支援学校を設置することを可能としたことによりまして、お住まいの地域にあるそれぞれの障害者に対する学校が特別支援学校ということになって、設置者の判断によって一つの学校に多様な専門性を有する教員が配置されることになって、重複障害のある児童生徒に対する適切な対応がし得るようになるだろうということを期待をいたしているところでございます。
  また、一つの学校において多様な障害種別を教育の対象とすることが可能になることから、障害のある児童生徒の皆さんがより身近な特別支援学校に就学することが可能になる。一県一つしかないような今までの学校の種別であっても、今度は特別支援学校で、他の障害種別にも対応してくれることによって、より近くの学校に通うようなことも可能になってくるという、利便性の向上も期待できる、このようなことを私どもとしては制度設計の上で期待をいたしているところでございます。

○笠委員 今大臣から話がありましたけれども、そういう考え方、目標というものは、その期待するものというのはよくわかるんですけれども、障害を抱えたお子さんとか、あるいはそのお父さん、お母さんたち、保護者の皆さんからすれば、一体全体どういうふうに使い勝手がよくなるんだ、あるいは今までよりも非常に使いやすくなるんだ、あるいはもっといい環境になるんだということがやはりいま一つよく見えてこないんですね。
  ただ、もちろんこれは国としてはあくまでも、今まさに大臣がおっしゃったように、期待をしておるということで、これはある意味では、これから都道府県ないし市町村、いろいろな地方自治体のもとに、この制度を活用して、どういうふうに現実に進められていくのかということによるところがやはり大変大きいと思うんですね。
  ただ、後ほどまた具体的にも聞かせていただきますけれども、ちょっと確認なんですけれども、国としては今回はもうこういう制度、枠組み、環境をつくったよ、あとは地方でしっかりやってくださいと、国の役割というのはもうそこまでなのか。あるいは、それがプラス、実際にどういうふうな形で、来年からですから、それから一年たって、三年たって、五年たってということで、もちろん評価をしていくということはあるかもしれませんけれども、ある意味では、地方の自治体がどのようにしっかりとやっていくのかを、あとは見守るしかないということなのか。それとも、いや、こういう部分は国としてしっかりと関与するんだ、例えばお金も使ってやるんだというようなことなのか。その点を、国の責任という部分を、具体的な部分、ぜひ御説明をいただければと思います。

○銭谷政府参考人 特別支援学校の制度は来年度からスタートすることを法案では予定しているわけでございますが、私どもといたしましては、まず特別支援学校の制度の趣旨についてしっかりと各都道府県、市町村、そして保護者の方々に御理解をいただく、そういうことを行わなければならないと思っております。
  それから、二つ目には、今、実は、各都道府県でも、こういった特別支援学校の動きを見ながら、それぞれの都道府県内における特別支援学校についての配置等につきまして、今いろいろな計画を立てたり準備をしたりしておりますので、各都道府県における特別支援学校の配置につきまして、本当にその制度がねらっております重複障害の方にも非常に有用であって、かつ、非常に利便性も高まった、そういう学校配置になるかどうかについてしっかりと見きわめつつ、また、非常に好ましい事例の紹介ということをやっていきたいと思っております。
  それから、三点目には、特別支援学校につきまして、きちんと教職員が配置をされ、学校運営がなされますように、今後引き続き、教職員の配置等、定数措置についてしっかり検討していく必要があるというふうに思っております。
  なお、加えまして、今回の法律改正につきましては、いわゆる小中学校における特別支援教育の充実といったような内容も入っているわけでございますので、この点につきましても、小中学校における特別支援教育の充実の体制整備に対する指導及び必要な教職員の配置等々、あるいは具体的な実践事例の紹介、こういったことに力を注いでいきたい、またそうすることが私どもの責任であると思っております。

○笠委員 もう一つ、個別の話に入る前に、これもきょう議論になっておりましたけれども、改めて確認をしておきたいことがございます。
  当然ながら、今からの社会は、共生できる社会、これが目指すべき社会になっていくと思うんです。そういう中で、審議の中でもたびたび、インクルーシブ教育を進めていくことがやはり重要なんだと。これは国際的な常識にもなっているわけですね。また、規約の中でもそういったものが明記されておるわけでございますけれども。
  今回の法律の改正が、障害のある子供たち一人一人にとって最適な教育的支援を行うためだということは、これは皆さん本当にそのとおりだと思うんですが、その方向性としては、分離・別学教育ではなくて、インクルーシブ教育を進めていくということで、そういう理念のもとでつくられたものだと私は認識をしておるんですが、そのために必要なこと、必要な理念というものは、大臣にとって何が一番大事なんだというようなところを、最初にまずお話をちょっとしていただければと思います。

○小坂国務大臣 きょうは、御指摘のように、たびたびこのインクルージョン、インクルーシブ、この教育の概念について、サラマンカ宣言等を引かれまして御指摘をいただいております。
  私どもも、障害者の教育については、このインクルージョン、インクルーシブと言われるような一つの国際的な流れを踏まえて進めていくことが、一つの方向性として私ども認識をしなきゃいけないことだと思っております。
  各国においては、特別な学校を設置することを含めて、一人一人のニーズに応じた教育を実施していると承知をいたしているわけでございますけれども、我が国におきましては、障害のある者と障害のない者が交流や共同学習を進めつつ、一人一人のニーズに合った教育の実現を、さらにまた充実を図っていくことが必要、こう考えているところでございまして、現在の施設整備、教員配置、保護者の意識や意向及び高い専門性と経験を持った特殊教育諸学校の存在等を勘案すれば、現時点ではすべての子供を小中学校に就学させるという、そういった環境にはまだ至っていないという認識も一方にはあるところでございまして、文部科学省としては、交流及び共同学習をさらに進めるとともに、保護者や専門家の意見をよく聞きつつ、一人一人の教育ニーズに合った特別支援教育が行われるように進めていく、これが基本的な考え方でございます。
  しかし、これに加えて、私はさらに、特別支援学校において、このPTやOTのこういった専門的な知識をお持ちの方の力をより取り入れやすい環境づくりというものもあわせて進めたいと思っておりますし、また、今回、この特別支援学校は、地域の特別支援教育のセンターとしての役割を担うということもこの役割の中に入れております。これは、すなわち、この小中学校等への支援機能ということで、より小中学校が受け入れやすい環境をつくっていくということで、これも一つはインクルーシブの考え方に沿った流れをつくっていくことができるんではないか、このようにも考えているところでございます。

○笠委員 実はことしの四月に、私の地元で、神奈川県立の麻生養護学校というのが開校したんですね。先週末にこの学校の授業参観と記念式典、開校記念式典がございまして、私も出席してまいりました。本当にびっくりするぐらいにすばらしい施設で、子供たちも小学生から高校生までおられて、肢体不自由の方、知的障害を抱える生徒さんたちが一緒に学んでいるんですが、本当に生き生きとされていたんですね。一年通じて使える室内温水プールがあったり、あるいは、八段階でしたか、深さまで調節できるという、恐らく全国でも余り例のないような施設が県立校としてできたんです。
  ただ、この施設もそうなんですけれども、やはり校長先生が、今大臣もおっしゃったような、もうこれからは学校を地域に開いていくんだと。これまではどちらかというと地域に支えられることだけが養護学校だったんだけれども、むしろ、これからは貢献をしていくことが逆に大事なんだということで、週に一回、地域にしっかりと貢献をしていこうとか、もうとにかく、極力自分たちも一緒になってその地域社会に入っていくんだというようなことで、まさにそのことこそがインクルージョンなのかなということを考えたわけなんです。学校の玄関にも、もう既に地域支援センターという看板までしっかりとかけて、そういう取り組みをやっているんですね。
  神奈川は割とそういった取り組みをこれまで早くから進めてきているという状況だと思うんです。先ほど京都の例などもございましたけれども。やれるところというのは、もうかなり進んで、地域も加わって、いろいろなことがうまくいっていると思うんです。
  ただ、私が先ほど申し上げた国の責任という意味では、都道府県ごとにその体力も違えば、先ほど来都道府県別のいろいろなデータが出る中での一つの格差というものが生まれてきている部分、そこに対しては、やはり国が責任をしっかりと持っていかないといけないんじゃないか。ちょうど並行して行われておりました教育基本法の特別委員会でも、普通教育、義務教育を含めたところの、国の最終的な責任ということを、私ども民主党案の中では、教育について最終的な責任は国が負うんだということを明記したわけでございます。
  例えば、障害者の方々への支援、こうした教育環境を整えていくということについて、一点だけ、国としてそういった格差是正などへ向けての、やれるところはもちろんしっかりとそのままやってください、しかし、なかなかそうでないところに対しては、やはり支援をしていきましょうという中で、具体的に今回のこの法改正に伴って何か財政的な国の支援というものがあるのかどうか、その点について、あれば御説明をいただければと思います。

○銭谷政府参考人 障害のある子供の教育に係る国の財政的な支援ということについてのお尋ねでございますけれども、教育の機会均等という観点、教育水準の維持といった観点から、国としては必要な財政措置を講じていかなければならないと考えております。
  具体的には、教職員配置及び給与費等の国庫負担ということが一つございます。それから、障害の種類に応じました学校施設費の国庫負担ということがございます。三点目には、就学奨励費、これは特別支援学校に就学をする子供たちに対する奨励費でございますけれども、この就学奨励費の援助といった財政措置を行っているところでございます。
  この点につきましては、今後も引き続きしっかりと実施をしてまいりたいと思っております。

○笠委員 私が聞いたのは、それじゃなくて、今回の法改正に伴って、来年の四月から始まるわけですけれども、新たに追加的な国としての予算措置、財政支援があるのかどうかということです。

○銭谷政府参考人 制度的に新たな財政的援助ということは今は特に考えておりませんけれども、ただいま申し上げました教職員の配置などにつきまして、総人件費改革の中ではございますが、必要な教職員配置ができるようによく今後検討してまいりたいと思っておりますし、また、就学奨励費等につきましても、今後、どういう工夫ができるのかを含めまして、いろいろと考えてまいりたいと思っております。

○笠委員 もちろん、私は、この法案の中でそういう財政的な措置が盛り込まれていないということはわかっているんです。
  要するに、これからいろいろな形で、地域の特別支援教育センターですか、そういった機能をいろいろと持たせるであるとか、さまざま掲げられていることは非常にいいことだと思うんですよ、一つ一つ。しかし、本当にこれは大丈夫なのかなと。
  掲げる目標は高いにこしたことはないんでしょうけれども、工夫してそういったものを稼働させていく、そして地域で進めていくための仕組みというものも、本来だったらそういう財政措置を伴うようなことも含めてあっていいんじゃないかなということで、今の局長の御答弁の中で、今後人的な配置のこととかも含めて、かなり、これまでの参議院、そしてきょう始まった委員会の中でも前向きに検討するようなことが多々あるようでございますので、そういったところは、しっかりと来年度の予算も含めて、財政支援、予算措置も含めてやはり取り組んでいただきたいなと思うわけです。
  それで、重複するかもしれませんけれども、私も、きょうも大分議論になっております、教職員の確保とその資質の向上、より専門性の高い方々をどうやってふやしていくのかということ、それと、施設の整備というものが、まずはやはり国としてやらなきゃいかぬ、実際にやろうと思えばできることだと思うので、ちょっと二、三確認させていただくんですが。
  きょう午前中に、特殊教育の盲・聾・養護学校における免許の保有率が、昨年で約五八%であった。将来的には、参議院では七割、八割だったのが、きょうの午前中で八割になって、私が聞くと九割になったらいけないので聞きませんけれども、そういう目安になったときに廃止をするんだということをおっしゃったんです。先ほど我が党の松本委員もその点を尋ねておりますけれども、やはり、どのくらいまでにという期間を切った明確な目標をしっかりと掲げて、そして、そこに向けてきちんとした指導もする、あるいは国としてもきちんと配置をしていくというようなことをやっていかなければ、何か自然発生的に期待して期待してだけではもう待っていられないんですよね、実際に障害を抱えられているお子さんたち、保護者の皆さんは。
  それで、そのためには、やはり具体的に、では現在免許を持っていない方に、研修の充実などを図って、免許取得をしやすい環境を整えていくということももちろん必要ですし、既にそういう取り組みも進んでおります。ただ、あわせて、やはり、これから新たに教員になっていく方に、ぜひともこの特別支援学校で自分は働きたい、自分はそこで子供たちを教えていきたい、子供たちのために頑張っていきたいというような、学生さんたちにあるいはこれから学生になっていく人たちに、そういう意識を持っていただくことが非常に大事なんじゃないかと思うんです。
  現状、普通の小学校、中学校などの教員を志望される方と、これまでの養護学校などを志望される方との間では、やはり希望される人数が全然違うんですよね。だから、そこあたりをどうすればもっともっと多くの、これから教員になっていかれる方がみんなその免許を持ち、あるいは働きたいんだと思われるような形になっていくことができるのか、そこあたりの何か具体的な施策、検討されていることがあれば、お答えいただければと思います。

○馳副大臣 参議院における大臣の答弁もございましたが、やはり今後五年間とか三年間とか、ある程度の年限を区切って計画的に教員の養成を計画していく、これは私は一つの重要な政策の誘導策というふうに考えております。その数字的なことは当然今後大臣のもとで詰められると思いますけれども、今回この法案を成立させていただければ、特別支援学校また特別支援学級という形で、新たな障害児に対する教育の体裁が整うわけですから、受け入れる体制とともに、そしてその障害児教育を提供する体制を整えていく、それは計画的な方策をもってやっていくというのは、これは文部科学省としての筋と思います。
  ですから、インセンティブという言葉は余り使うと失礼かもしれませんが、障害児教育に関与することが教員を目指す者にとっての一つのステータスであり、やりがいであると、こういった意識改革というものは必要であろうというふうにこれは考えております。
  数字をちょっと見てみましたら、毎年小中学校、高等学校、教員免許の取得者が十六万人。その中で、盲・聾・養護学校の教員免許の取得者は約八千人。二十分の一という数字なんですね。当然その実態を調べると、やはり一般の小中高等学校の教員の採用者数よりも盲・聾・養護学校の採用者数の方がはるかに少ない、そして、養成機関も少ないということから、こういう実態になっているんだろうというふうに考えられます。
  それを考えると、委員も御指摘いただきましたように、今後、特別支援学校、特別支援教育あるいはコーディネーター、こういった職種があり、それに対応する役割が非常に教職員を目指す者にとっての一つのやりがいのある仕事である、こういう認識を持って、養成の段階とか、それから、現職教員の皆さんに認定講習を通じ、ぜひとも資格を取っていただきたい、こういうふうに進めていくのが文部科学省としての姿勢であろうというふうに考えております。

○笠委員 まだまだ聞きたいことがあったんですけれども、時間が参りましたので終わらせていただきますが、一言だけ。
  今免許をしっかりと取っていただくことも大事なんですけれども、特別支援学校の教員の方のみならず、小学校や中学校あるいは幼稚園、高校、すべての、今現に教壇に立たれている方、あるいはこれから先生になる方々の研修ということも含めて、障害を抱えた皆さん、そしてその保護者の方々を温かく包み込んでいく共生社会の実現へ向けて、ぜひとも積極的な取り組みをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。