| 165-衆-文部科学委員会-4号 平成18年11月08日 |
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○笠委員 民主党の笠浩史でございます。
きょうは、いじめと未履修の問題ということなんですが、実は、ちょっとそれに先立ちまして、昨日、教育特別委員会の理事会の方に、九月二日に青森県の八戸で行われたタウンミーティングの件についての調査報告が内閣府の方から出されましたけれども、大臣、これはお読みになりましたか。
○伊吹国務大臣 拝見をいたしました。
○笠委員 私、この件が特別委員会で出てきたとき、最初、内閣府がこのタウンミーティングを主催いたしておりますので、内閣府がやったことかなと正直思っていたんですね。しかし、昨日の報告書だと、文部科学省が、いわゆるやらせと受け取られるような質問の依頼、その文書を作成した。当初、内閣府の方では呼びかけをして、大体こんな質問が出てきますよというものが文部科学省の方に報告をされて、そして、それを目にした文部科学省の方からつけ加える形で、この教育基本法、政府の改正案というものに沿った形の、問題になっていた下線を丁寧に引いてあるような依頼があったということで、それがまた教育委員会を通じて流されていくという、これは本当に大変なことだと思うんですね。
これは当然、伊吹大臣が大臣のときではございませんから、過去のことではございますけれども、やはり国民の意見をしっかりと幅広く聞く、あるいは政府の考え方というものをしっかりと説明していく場であるべきタウンミーティングが、こういう意図的に、やらせミーティングと言われてもおかしくないような状況を生んでしまった原因が文部科学省にあるということについて、大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
○伊吹国務大臣 基本的に、私たちの国は、選挙による代表制によって、多数決原理で動いて意思決定が行われているわけですが、同時に、何度かに一度の選挙で選ばれた者が選ばれたから何をしてもいいというおごりを持ってはいけないわけですから、おっしゃったように、タウンミーティングその他において、しっかりとその時々の有権者の声を聞いていくということはなければなりません。
同時に、先生もテレビ局におられましたが、やはり大衆の声を報道する報道機関にもある程度の報道機関としての責任があるのと同じように、タウンミーティングにおいても、やらせなどということはあっては、全く私は不適当なことだと思います。
事実関係は先生がおっしゃったとおりでほとんど間違いはないと思いますが、あえて若干の文部科学省としてのコメントを申し上げますと、当初の質問が出てきた、そしてその質問について、これは教育基本法についてのタウンミーティングをやる、教育再生についてのタウンミーティングをやるということだったんですが、教育基本法についての御質問がほとんど、直に結びつく御質問がなかった、だから、こういう質問をぜひしてもらいたいということを書いて、内閣府にお返しをしたという経緯があるようです。
それが結果的に、今先生が御指摘になったようなやらせという結果になっているわけですから、これは謙虚に反省をして、内閣府からの問い合わせに対する答え方等については十分謙虚に対応をしていかねばならないと思いますから、御指摘のことは決していいことであるとは私は思っておりません。
○笠委員 大臣、教育基本法について、その賛否も含めてもっといろいろな意見を伺いたいということを言うのは私、いいと思うんですよ。ただ、問題は、この「時代に対応すべく、教育の根本となる教育基本法は見直すべきだと思います。」とか、「個の尊重が「わがまま勝手」と誤って考えられているのではないかという気がしてなりません。教育基本法の改正を一つのきっかけとして、もう一度教育のあり方を見直し、みんなで支えあって生きていく社会、思いやりのある社会の実現を目指していくべきだと思います。」とか、こういった、まさに教育基本法の政府案、この改正案というものが必要なんだということを言わせていくということは、私は、やはりこれはやってはいけない。この部分がまさにやらせだと言われている点なんですよね。
ですから、この教育基本法の問題に限らず、これまで行われてきた過去のタウンミーティングについても今、調査が行われていると思います。そうした中で、やはりこれは文科省としても、なぜこういうことが起こったのか、あるいはこういうことがいつも行われてきたのか、その点は、まさに今の大臣が最高責任者でございますから、しっかりとその指導、事実関係を積極的に明らかにしていただいて御指導を、二度とこういうことが起こらないようにその力を発揮していただきたいと思います。
そのことについて一言お願いします。
○伊吹国務大臣 責任者として拳々服膺させていただきます。
○笠委員 きょうは、このことをずっとやっているとすぐに持ち時間が参りますので、また別の機会にこの点については改めて、すべての調査結果が出てきた時点で伺いたいと思います。
まず、きょう資料をお配りしておるんですけれども、文部科学省が九月の十三日に発表している「平成十七年度 生徒指導上の諸問題の現状について」という冊子がございます。これは、いじめの発生件数でありますとか、あるいは高等学校における不登校生徒数であるとか、中途退学者あるいは自殺者数といったものが毎年公表されているわけでございますけれども、実は、小中高校生の自殺者数の推移というものが警察庁からも発表されているわけですね。これがお手元の資料の表一というものでございます。そして、表の二が文部科学省発表の公立学校の自殺者数の推移。つまりは、警察庁の発表の方には私立学校が含まれているということなんです。
ただ、私、これを見てちょっと驚くんですけれども、圧倒的に私学に通う児童生徒さんというのは少ないわけですよね。しかし、これだけの数字の開きがあるということは、これはどういうことなのか。
例えば、中学生、高校生について、この文部科学省の公立学校の自殺者の数がもし正しいとすれば、私立学校の中高校生の方が公立学校の生徒よりも二倍、三倍の自殺者がいるということになるわけですね。一方で、私立の学校に在学する生徒さん、これは中学校で六・七%、高等学校で二九・六%です。
公立に比べて私立に通う生徒さんがこれだけ少ない中で、自殺をする人だけは飛び抜けて多いというのは、これはどういうことなのかなと本当に疑問を感じるわけですけれども、大臣、いかがですか。
○銭谷政府参考人 ただいま先生から、警察庁の自殺の数と文部科学省の調査の自殺の数について大変そごがあるというお話がございました。
私どもの調査というのは、児童生徒が亡くなった場合に、学校が把握をして、その亡くなった原因が学校として自殺である、こう判断をしたときに教育委員会を通じて報告をしていただいている、そういう数字でございます。これに対しまして、警察庁の調査は、捜査権限のある警察による検視、事情聴取の結果を集計しているということでございますので、調査のシステムが違うということを申し上げざるを得ないわけでございます。
学校は、児童生徒が亡くなった場合に、遺族から聞き取るなどをして、児童生徒の亡くなった事情の把握に努力をしているわけでございますけれども、学校として自殺であることの裏づけを確認できず、自殺であるという判断ができない場合とか、遺族の申し出によりまして報告されない場合もあるというふうに思われております。
ただ、数が違うということは、これは厳然たる事実でございます。私ども、今後、この児童生徒の自殺の調査につきましては、やはり学校と警察の連携を密にするという観点や、学校の把握のあり方等につきまして実は今、児童生徒の自殺予防の取り組みに関する検討会という専門家の会議を設けておりますので、そういった検討会の議論を踏まえながら、より正確な調査になるように考えていきたいというふうに思っているところでございます。
○笠委員 だったら、学校発表のとかそういうのを入れてもらわないと。
まさにこれは文科省が発表して、政府の発表ですよね。そうしたら、多くの方々が、今自殺するお子さんがどれぐらいいるんだろうとか、そういったことに関心を持ったときに、この政府のデータ、これは間違いのない数字だと。しかし一方で、警察庁から発表されている数字とは倍違っていたり、場合によっては三分の一だったり。逆に、そういうことであれば、無理して発表する必要はないんですよ。例えば、児童生徒の自殺者数は一六・七%減っています。減っていないんですよね、この警察庁の数では。そういうふうになると、同じように書かれているいじめの発生件数だって、七・一%減となっています。しかし、これも本当かなと。
ですから、こういうデータ、数値というもの、今の現状、実情というものをもし政府として、文科省として発表されるのであれば、それなりの責任を持ってしっかりとやっていただかなければ、これまでもさまざま指摘されている、いじめの原因による自殺というものは九九年以降、七年間ゼロ件である。でも、ほとんどの国民の皆さんは、そんなことはあり得ないと。連日のようにいろいろな形で報道に接する中で、もう学校だって認めている場合もある、あるいは教育委員会が認めているケースだってあるわけですよね。
ですから、恐らく、学校から報告を受け、あるいは教育委員会を通じて上がってきた数字をそのままに集計した結果がこのデータになっているんだと思うんですけれども、やはりこういうデータというものについては、今後責任を持って、当たり前のことですね、ずっとこれだけのそごが出ているわけですから。
局長、ずっとこれを毎年見ていますよね。何でこんなに開きがあるんだろうと、正直、感じられたことはないですか。いや、今になって、今から警察ともよく連携してとおっしゃいますけれども、かつて、そういう疑問を持たれたことはないですか、いかがですか。
○銭谷政府参考人 警察の発表の自殺の数と、文部科学省に学校が、これは自殺だということで教育委員会を通じて上がってきている数、この差があるということは認識をいたしておりました。
それで、どうしてこういう数字になるんだろうかということをいろいろ聞いてみたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、子供が亡くなった場合に、学校としてこれは自殺であるということがなかなか確認ができないとか、あるいは御遺族の方がこれは自殺ではないといったふうに言ってくるケースもあるといったようなことを聞いておりまして、そういう状況なのかなと思っておりましたが、いずれにしても、警察の数字と学校からの報告の数に差があるということは、繰り返しになりますけれども、私は感じておりましたので、調査の方法については検討を加えなければいけない、こう思っておりました。
○笠委員 このデータは、別に遺族の方を公表するとかそういうことじゃございませんから。
要は、隠しておきたいわけですよね、何でも。何でも改善していますよと。そういうふうに思われたって仕方ないじゃないですか。私は警察庁の発表の方が正しいと思いますよ、間違いなく。そういった点で、やはりずっと放置してきているんですよ。これからお伺いしますけれども、問題が起こったときにしっかりとした対処ができていないから、この未履修の問題だって今回これだけの広がりを見せているわけです。
次に、その点についてお伺いいたしますけれども、この未履修の問題についても、文科省のこれまでの対応について、私もきょう質問するに当たって改めてお伺いをさせていただきました。必修科目の未履修問題、今回じゃなく、過去のケースで文部科学省がどれくらいこれまで把握していたのか、何件ですかということを聞きましたら、大体報じられている件数でしたね。一九九九年、二〇〇一年、四件ですか、起こっているということです。
そのときに、どうして今回のような全国的な調査を行わなかったのか。その点について、これは局長にお伺いいたしたいと思います。
○銭谷政府参考人 高等学校における必履修科目の未履修の問題でございますけれども、ただいま先生からお話がございましたように、私どもが過去に把握をしておりますのは、長崎県、熊本県、広島県、兵庫県の四県においてそういう事例があったということでございます。
過去において判明をした事例につきましては、それぞれごく一部の県における事例であったということから、当該都道府県においてこの問題について処理が行われておりまして、私ども、それでその県におけるこの問題への対応は済んでいるということで、ごく一部の県における事例であったことから、全国的な実態調査というのはその時点で行わなかったものでございます。
ただ、これらの事例が判明をした際に、文部科学省としては、判明した学校以外に同様の事例がないか県内の学校を調査すること、それから当該学校において必修科目の履修について適正を期すということと、指導の徹底ということをそれぞれの教育委員会にはお話をしているところでございます。
また、各都道府県の教育委員会に対しましては、全国の教育委員会の高校担当指導主事の会議におきまして、これは何回かやったわけでございますが、一部の県でこういった不適切な事例があったことを示した上で、各県におかれても適切な教育課程の編成、実施がなされるように指導を行ったところでございます。
こういった指導によりまして、私どもとしては、各県においては必履修科目の履修についてはそれぞれ適正に行われているというふうに考えていたわけでございますけれども、今回の状況にかんがみれば、これまでの取り組みが十分であったかどうか、結果的に反省せざるを得ないというふうに思っているところでございます。
○笠委員 十分であったかどうかじゃなくて、十分じゃなかったんですよ、結果として。このときは、兵庫県では五十九、後に一件加わって六十件、まさに組織的に行われてきていたわけですよね。
では、聞き方を変えますけれども、今回この問題が最初に、富山県立高岡南高校でこのケースが内部告発によって発覚をしたわけです、それが報じられて。そして、同時に文科省の方にも連絡が入った。では、今回はなぜ全国調査をするということになったんですか。
○銭谷政府参考人 過去に判明した事例については、ごく一部の県における事例でございましたので、全国的な実態調査は行わないで、その県に対して指導を行うことにより対応してきたわけでございます。また、全国的な会議を通じて指導するという措置だったわけでございます。
これに対しまして、今回は、十月二十四日に富山県教育委員会から高校の必履修科目の未履修について報告を受けた後、一部の地域や学校にとどまらず、他の複数の県においても相当数の学校において同様の事例があるとの状況がだんだん判明をいたしてまいりました。そこで、大臣からも厳命を受けまして、これは全国の高等学校の実態を至急把握する必要があるということで、緊急に全国調査を行うこととしたものでございます。
○笠委員 過去のケースのときは、恐らく大臣にそういう危機管理がなかったんでしょうね。よく言えば今回は伊吹大臣だったからということを今おっしゃったんですけれども。
実は私どもの党で、やはりこれは大きな問題だということで文部科学省の担当の方に、お名前は申し上げませんが、部門別会議に御説明に来ていただきました。そのときに私は同じ質問をしたんです。そうしたら、報道されたからと言っていましたよ。
要するに、今回もそうなんです。富山県、最初は一ケースなんですよ。ケースとしては一県だった。しかし、当然ながらマスコミもいろいろ調査をしたりする中で、もう二十五日の朝刊では岩手だ福島だ、いろいろなケースが出てきたわけですね。
それを受けて、これは大変だということで恐らくこれは、それでいいんですよ、対応するのは。しかし、そういうふうに表ざたになって、これは大きな騒動になりそうだぞというようなことがなければ調査を本格的にやろうとしない、そういう体質が、一番大きな問題につながっているんじゃないかと私は思っているんですね。
ですから、今回のケースを機にして、やはりしっかりとした文科省としての体質改善を行っていただかなければなりませんし、教育特等々でこの質問、大臣にもかなり集中しましたけれども、大臣も、もちろん文科省の責任もあるとおっしゃっているけれども、ただ、どちらかというと学校長、わかるんですよ、権限があるのは学校長であり教育委員会であると。そこの規範意識の低下が一番大きいんだと、それはよくわかる。
しかし、文科省の規範意識の低下というものも、先ほどのタウンミーティングの件でもそうですけれども、この危機管理、あるいはそういう教育の最高の責任省庁である文科省としての対応というものには、やはり今後しっかりと当たってもらわなければならないと思っております。
大臣、いかがですか。
○伊吹国務大臣 従来のケースは、例えば兵庫なら、非常に多くの高等学校でこういうことが起こったわけですが、当該県に集中をしておったわけですね。ですから、先生のお言葉をかりれば、感度が少なかったということだと思います。
今回は、富山から発しましたけれども、これは確かに報道されたからというのは間違っていないんですよ。富山から発しましたけれども、マスコミもいろいろな関心を持って調査をしたために、複数の県でこのことが報道された。そこで私は、これは私学を含めてすべて調査しろということをそのとき厳命いたしました。
同時に、何度も前に起こっているじゃないか、そのときになぜやらなかったんだということを私は言ったんですよ。しかし、文科省の諸君の気持ちを考えると、大臣、後講釈としては何でも言えますよ、しかしそのときは一つの県のことであったから、県の教育委員会に厳重に注意をして措置をさせたんだと、多分こういう気持ちでいたと思いますよ。だから、後講釈とは言わなかったけれども、大臣は後でそういうことを言っておられるが、そのときは一つの県だったからということを思っていたと思います。しかし、今から考えれば、そのとき一つの県で起こったことでこれほど今広がりを見せているんだから、幾つかの県であったと私も思います。
だから、やはり感度がなかったということですよね。そのことを厳重に反省をして、私が文部科学大臣をお引き受けしている限りは、緊張感を持ってやらせますし、また私もやりますから、どうぞひとつ御了解をいただきたいと思います。
○笠委員 では、例えばこの兵庫県のケースで、兵庫県については五十九校にも上る学校が当時あった。先ほど局長のお話を伺っていて、そこについてはきちっと指導もし、あと全国にも呼びかけをしたということでしたけれども、実は今回この未履修が発覚した中に、当時の兵庫県で、この五十九校の中で、未履修を行っていたところが、また今回も七校も含まれているんですよ。ということは、では文科省の指導というのは何なんだ、あるいはそういう都道府県はどうすればいいのかということになるわけですよね。
ですから、そのとき、一度ちゃんとそういうことで手続踏みました、指導もしました、後はやってくださいよ、そして、もう後はほったらかすだけだと、同じことを残念ながら起こすところも出てくるわけです。今回これだけ大きな騒動になったので、数年は大丈夫かもしれない。しかし、このまま再発防止へ向けたしっかりとした対策をつくっておかなければ、これはまた十年ぐらいたったら、ひょっとしたら同じようなことが起こる可能性だって否定はできないわけですね。
ですから、我々は、やはり責任の所在というものをしっかりと明確にしていかなきゃならぬということで、この形骸化した教育委員会というのはもう廃止をして、新しい形での地方における教育行政のあり方というもの、どこにどういう権限があるのかを明確にしていくべきだということも教育基本法の質疑の中でも申し上げてきているわけですね。
それで、大臣は、我々の考えとはちょっと違って、教育委員会の権限をもっと強くするというような発言をされているんですけれども、こういったことが起こらないために、ではこれからの教育委員会のあり方、下村副長官なんかは都道府県教委は要らないじゃないかということを公式に先般も発言されていますけれども、この教育委員会のあり方について、どういうイメージで改編をされていこうとするのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
○伊吹国務大臣 むしろ、私は笠先生にお聞きしたいんですが、今も高等学校については都道府県教育委員会に権限があるんですよ。あるけれども、こういうことが起こっているわけでしょう。都道府県の教育委員会じゃなくて、都道府県に権限を渡したらこういうことは起こらないという保証はありませんよね、それは。(笠委員「今よりいいですよ」と呼ぶ)いや、今よりよくなるかどうかは、それは、どれだけの権限と、それから指導権をどういうふうに付与していくかという方向性によって決まってくるんです。都道府県に渡したからといって決まってこないですよ。ですから、都道府県に渡しても、どれだけの法的根拠を渡しても、やはりそこに携わる者の規範意識がなければだめなんですよ。
ただ、先生のおっしゃっているやり方をすれば、国が指導をする教育委員会の指導権というものがどうなるかという、これはまた一つ問題があります。しかし、全国統一的に学習指導要領というものを決めないで、何をやらせてもいいというのなら、知事にお渡しになっても、それは一つの考えですよ。
しかし、今と同じように全国統一的に、やはり高校を卒業する場合にはこうしなければならないということを、教育権は国にあると基本法に書いていらっしゃるわけでしょう。だから、それを国に残しておいて、結果的にそれの執行を教育委員会に渡すか都道府県に渡すかということになりますと、結局、教育委員会であれ都道府県であれ、同じように地方議会の監視を受け、知事部局の予算統制に服しており、人事権は今も教育委員会にあり、多分そうすれば都道府県に人事権はあり、どこが違ってくるんですか。私は、むしろそのことをお伺いしたいです。
都道府県に教育委員会の権限をすべて移管すれば今のような問題が起こらないというのは、私はちょっと理解ができませんね。
○笠委員 大臣、それは私お答えしますから、それよりもまず大臣が、では教育委員会をどういうふうに強化するのかということを答えてください。
○伊吹国務大臣 私がお伺いしたことについて、質問の形で結構ですから、ぜひ見解を明らかにしていただきたいと思います。どのような制度改革にも必ずプラスとマイナスがあります。ですから、私は、教育委員会は今のまま残すべきだと思っています。
そして、あと、都道府県の教育委員会と市町村の教育委員会の関係、それから国と教育委員会との関係、これは今のままではいけないと私は思っていますが、私は今、文部科学大臣という責任ある立場ですから、安倍総理が責任ある立場で言えないこともたくさんあるのと同じように、やはり教育委員会のあり方についてはいろいろな方の意見を聞いて、もう少し国の関与を強くする、それから同時に、地方の教育委員会の中で、都道府県の教育委員会と市町村の教育委員会の関係をもう少し見直していかねばならない、これが私の大きな流れです。
○笠委員 私はちょっとわからないんですけれども、国の関与を強くするというのは、例えば都道府県教育委員会に対する国の関与を強くするということでよろしいですか。
○伊吹国務大臣 私の理解からすると、これは国会で議決をされたことですから、私自身がそのことについて批判をするということはいたしませんが、十一年の地方分権法のあり方がよかったのかなという感じは私は持っております。
○笠委員 いや、大臣、私はいいと思うんですよ。今まさにこういう問題が起こって、要するに、今の教育委員会はそのままだ、ただし、例えば都道府県と市町村の、それぞれの教育委員会の権限のあり方とか、そういうものについてはいろいろと検討の余地があると。一番問題なのは、文部科学省というか国がもう少し、現行の教育委員会制度を残したままで、そこに対して、よく大臣おっしゃいますよね、なかなか指導しようと思ってもできない、実態はと。だから、そういった関与をもっと強くしていくというイメージでお答えになっているのかどうかということを私はお伺いしたいんです。
○伊吹国務大臣 私が申し上げていることを言葉どおり理解していただけば、おわかりになると思います。
○笠委員 私、よくわからないわけですよ。私は、教育委員会制度そのものを、その権限もそうですし、いじらなければ、ここでこれを見直していかないと、恐らく今の教育委員会の形のままでは実態として機能しないんじゃないかと思っております。ですから、あえてこだわってこういう質問をさせていただいているんです。
先ほど大臣が私どもの民主党の考え方に対してるる申されましたけれども、随分誤解もされているな、あれだけせっかく特別委員会で質疑をした割にはと思っておるんですけれども、何も私たちは、国でしっかりとした学習指導要領であるとか、何度も申し上げています、一定水準の確保あるいは財源、そういった最終的な責任は国が負っているんですよと。しかし、都道府県の例えば今回のようなケースがどうやったら出てこないのかというときに、今の体制のままだと、行政のままだと、結局はみんな隠したがるだけなんですよ。学校も隠す、校長も隠す、そして教育委員会も隠す。
一つお伺いしますけれども、今回この未履修の問題で一番多いのは、学校長が偽りのカリキュラムを教育委員会に上げていた、そしてそれをそのまま教育委員会は信じて国の方に、文科省の方に報告していたケースが一番多いんだと思いますけれども、教育委員会が知っていて黙認していたケースも、みずから教育長が記者会見をしておっしゃったりというケースがあるわけですね、幾つか。
局長、そこは何件ぐらいありますか。教育委員会がわかっていて意図的に隠していたというケースを何件把握されていますか。
○銭谷政府参考人 まず、公立の高等学校について申し上げますと、公立の高等学校で未履修のあった学校のうち、二校を除きまして、学校から教育委員会へ届け出をしていた年間指導計画といいましょうか、教育課程表が実際のものと異なっていた、つまり、偽りであったということが今回の調査の結果、明らかになっております。
それで、そのことを教育委員会が知っていたかどうかということについては、まだこれから確認をしていかなければならない事柄がございますので、今、何件と言うわけには、ちょっとお答えできない状態でございます。
○笠委員 私は、今回の、今いろいろな調査を大臣の方でもこれからしていくんだという中で、ぜひやっていただきたいことは、学校長の責任のもとでの結果責任、学校長の範囲でやっていたものと、教育委員会も含めた関与があった、それを構造的に隠していたというものとは、しっかりと分けてこれは結果を出していただかなければ、当然、その後の処分であるとか責任のとり方ということについても、もっと大事なことは、だれかがやめればいいというそんな話じゃなくて、二度とこういうことが起こらないということのためには、そこまでの徹底的な調査をぜひやっていただきたいと思っております。
大臣の方にもう一つ念を押しておきますけれども、我が党の野田委員の方からもありますけれども、過去にさかのぼっての調査ということとあわせて、指示を、確かに今は現場は当面のことで頭がいっぱいでも、恐らくこういった過去のケースというのは、やっているところはずっとやっているところが多いんですよ。わかるはずですよ、すぐに。だから、やはり大臣としての指示をできる限り、いつまでにこっちに上がってくるか、文部科学省としてまとめることができるかは別として、早急にこの調査の指示を出していただきたい、そのことを要請いたしたいと思います。
○伊吹国務大臣 二つ申し上げたいと思います。
今の件については、先ほど来お答えを申し上げているように、現場は率直に言って非常に手が足らないほど、各都道府県の教育委員会はこの問題で混乱をしていると言ってもいいと思います。できるだけ早くこれを収拾して、そして、例えば未履修の七十時間以上のものをどうするかという課長通知をすぐに出すように今準備しております。二百十時間のものについてはどうするかとか。これが終わらないと、なかなかそこへ率直に言って取りかかれないんですよ、現実からいうと。
だから、いろいろな御注文をいただいているのはよく承知いたしておりますから、これは理事会においてまたお諮りをいただいて、特にこの理事会と教育特の理事会と双方でいろいろ御注文がありますから、ひとつそこで御調整をいただいた上でそれにおこたえをしていきたい。
それから、なかなか国会の質問というのはディベートができませんので、残念なことですが、先生が私におっしゃった教育委員会の強化のイメージが先生になかなか伝わらないのと同じように、都道府県知事に権限を渡したら今のような隠し事が、例えば、都道府県知事に渡して、都道府県教育部にしますか、そこで起こらないんだということが私よくわからないんですよ。そのイメージがわかないんです。なぜ、教育委員会だったら隠し事が起こって、教育部なら隠し事が起こらないのかがわからない。
○笠委員 時間が参りましたので最後に申し上げておきますけれども、大臣からの御質問でございますから。
要するに、私は少なくとも今よりは格段よくなると思う。それはなぜかというと、今のこの教育行政のあり方、学校現場があって、学校現場は隠そうとする。教育委員会は、また文科省に対して隠ぺいをしようとする。そして、文科省もまた隠そうとする。今のこの行政の仕組み自体を変えていくためには、国の関与というのは最終的な責任にとどめておいて、あとは選挙で選ばれる首長のもとでしっかりとやっていった方がはるかにいいわけですよ。
一方で、今、手間もかかっていますよ。報告、報告、報告。指導、指導、指導と。それが機能していればいいけれども機能していないから、私たちは教育行政のあり方を根本から変えていくんだということで、この点についてはまた教育特でも、私も時間をいただきまして議論を改めてさせていただきたいと思います。今度教育特で、ぜひ、大臣はあれでしょうけれども、また質問をしていただければお答えをいたしたいと思います。
どうもありがとうございました。
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