笠ひろふみ衆議院議員 RYU HIROFUMI official website
国会質疑
 

166-衆-教育再生に関する特別委…-13号 平成19年05月17日

○笠委員 民主党の笠浩史でございます。
  きょうは、こうして安倍総理にまたこの委員会においでをいただき質疑をさせていただけるということで、大変ありがたく思っております。
  昨年、ちょうど一年間にわたって教育基本法の改正をめぐる議論、そして改正基本法に基づいて、今度、これからいよいよ現場をどうしていくのかというようなことの議論に参加をさせていただいておるわけでございますけれども、この教育三法案についてもかなりこの委員会の中で、本日も最後の質疑が行われているわけですが、お互いに同じ問題意識を持ちながら、そして我々も対案を示しながらの議論を行っているわけでございます。
  後ほどその点について具体的にお伺いをさせていただきたいと思っておりますけれども、ちょっとこの教育関連三法案の審議の前に、せっかくの機会でございますので一点だけ総理に確認をさせていただきたいと思います。
  総理は、ことしの四月二十一日からの靖国神社の春の例大祭、真榊を内閣総理大臣安倍晋三ということで供えられたということが報じられておるんですけれども、この点についての事実関係だけお答えをいただけるでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 私は、国のために戦い、傷つき、そして亡くなられた方々に対する尊崇の念、そしてまた御冥福をお祈りする気持ち、それは持ち続けていきたい、このように申し上げてきているところでございます。
  他方、この靖国神社にかかわる問題がいわば政治問題化され、そしてそれが外交問題になっているわけであります。国のために戦った方々に対する私の気持ちを表することが、いわば政治的に利用されたり、あるいは外交問題にさせていきたいという方々にも利用されるという状況の中においては、これはむしろ、私の真意としては、そういうことによって結果として外交的な影響があるのであれば、それは、例えば靖国神社に参拝したしない、あるいは真榊料を私が出した出さない、お供え物を出した出さないということについては申し上げない方がよろしいのではないか、このように判断をしているところでございます。

○笠委員 私は、ここで総理が靖国神社に行かれるのか行かれないのか、その是非を議論するつもりはございません、きょうの機会に。
  しかしながら、確かに昨年、総理は行ったのか行かれないのか、官房長官時代ですね、例大祭で行かれたのか、それはわかりませんけれども、そのことを政治問題化させたいという思いではなくて、なぜこの真榊を供えることについて、この神社を参拝したかどうかじゃないですよ、このこともやはりあいまいにしないといけないんですか。
  私は、このことぐらいはしっかりとお認めになって、この神社新報においてももうちゃんと出ていますよね、これは靖国神社でも配ってあるんですけれども、総理が奉納されたということが報じられているので、別にお認めになっても何ら構わないと思うんですよ。ここまでごまかさないといけないんですかね。もう一度お答えをいただきたいと思います。

○安倍内閣総理大臣 これは、私はごまかすとかごまかさないということを申し上げているわけではないわけでございまして、私の気持ち、これはまさに私の精神、気持ちの問題であります。そして、国のために戦った方々に対する私の気持ちを表明するのであって、これは決して私の政治的な意思表示ということとは別の話であります。
  だからこそ、むしろそれはもう申し上げる必要はないのであろう、このように私は判断をしているところでございます。

○笠委員 私は、ちょっと今のは納得できないですね、やはり内閣総理大臣という名前でこの真榊を奉納されているわけですから。私はそのことを悪いと思わないんですよ。むしろ、いいじゃないかと。
  ですから、靖国神社に参拝するしないのこの問題を政治問題化させたくない、中国やあるいは韓国に対するアジア外交をどうしていくという中で、総理自身のこれは決断でございますから。しかし、そこでぎりぎりの判断の中で今回真榊を奉納されたんじゃないかということで、私は、そのことを認めても何らおかしくない、堂々と、そうですよと言っていいんじゃないかと。そのことをもう一度改めてお伺いをいたしたいと思います。

○安倍内閣総理大臣 まず、はっきり申し上げておきたいことは、国のために戦った方々、亡くなられた方々、命を落とされた方々に対する尊崇の念を表していく、これは当然のことであろうと私は思っているわけでございます。と同時に、私は内閣を預かる者として、いわば外交そして日本の国益に大きな責任を持つ者でございます。その中においての判断であるということでございます。

○笠委員 私も、野党の議員ではございますけれども、国益は同じように大事だと思っております。ですから、このことをこの委員会の質疑を通じて、何も政治問題化させようとか揚げ足をとってやろうとかそういうことではない。ただ、私は、安倍総理がまさに闘う政治家を掲げて、美しい国をつくるというのであれば、やはりこのぎりぎりの判断の中で、しかもそれが、みずから言わなくても、そういうことで多くのマスコミに尋ねられたときに、そのことは率直にお認めになっていいんじゃないかな、そのことを御指摘させていただき、教育のこの三法案の本題の方に入らせていただきたいと思います。
  先ほど来我が党の松本委員の方からも話があったわけでございますが、総理は先ほど、我が党案よりも十歩政府案は先を行っているというようなことをおっしゃったわけでございますけれども……(発言する者あり)前よりもね。
  ただ、私は、本当に教育基本法の議論以来、例えば教員の質をしっかり高めていくことや、あるいは教育行政のあり方で、国あるいは地方公共団体等々の責任の所在をやはり明確にしていかなきゃいかぬじゃないかとか、同じ問題意識の上に立ってこの議論を行ってきたと思うんです。
  ただ残念なのは、この委員会を通じて行われた議論、あるいは参考人の皆さん、地方公聴会に私も出かけさせていただきましたけれども、そこで聞く議論の中で、やはり多くの方が問題意識は共有している。ただ、今回出てきた三法案というものが、例えば教員の免許の更新制というのが、これは研修、講習をしっかりと十年ごとにやっていくよと、これは大事なんですよ。ただ、それだけではやはり足りないんじゃないか。これは中教審の中でも、これまでも、免許の、教員の養成過程の問題、あるいは採用過程について、本当に今のやり方でいいのかどうか、そこを一つ総合的にパッケージとして提案をしてほしかった。
  というのは、現場の皆さんのお話を伺っていても、先ほど総理も、これからその点についても取り組むということをおっしゃっていただきましたけれども、やはり、一部だけをつまみ食いしたように先に出てくると、現場の皆さんはわからないわけですね。じゃ、ただ単に自分たちの負担だけがふえていくんだろうかとか。やはり、そういったことで、私は、先延ばししろとかそういうことじゃなくて、何でそんなに慌てたようにこの三法案を出してこなければならなかったのかということが納得できないわけですね。
  それに、例えば、教員の質の向上に加えて、学教法の改正の中でも、副校長あるいは主幹ポストというものなどを置くことができる。これは、地方公聴会の中でも、あるいは参考人の中からでも、それを置くことはいいんだけれども、その分、教科を教える現場の先生たちをちゃんと確保してもらえるんだろうか、今の先生たちにもっと負担がかかるんじゃないか、やはりそういう不安を抱えていられるわけですよ。ですから、そういうことについて言えば、本来は、教員の量というもの、どうやってそこを補っていくのかということもあわせて三法案を出していただいて、この委員会で議論をすべきではなかったのかな、私はそのようにまず冒頭に申し上げたいんです。
  これは総理にお伺いをしたいんですけれども、やはり、もっと骨太の案をしっかりとつくり上げてから、そして国民の皆様に見える形でこの国会で議論をしていくというようなことの方が本来いいんじゃないか。総理は、ちょっとそこのところを焦っておられるのか、あるいは、参議院選挙へ向けて、何としても何か一つ教育の実績をつくらないといけないというようなことなのか。その点について、総理の思いをお聞かせいただければと思います。

○安倍内閣総理大臣 まず初めに、委員が、私が政府案は民主党案より十歩進んでいるのではないか、こう発言したとおっしゃったのですが、今よりも十歩進んでいると。民主党よりも十歩進んでいる、こんな僣越なことは私は申し上げていないわけでございます。
  そして、その中で、教育改革、教育再生については、これはもう国民の皆様から直ちに手をつけてもらいたい、こういう要請が強いのは委員もよく御承知のとおりなんだろうと、このように思うわけでございます。我々は、こうした国民の強い要請を受けながら、まさに、私たちの内閣の使命は教育の再生に取り組んでいくことである、こう認識をしているわけであります。ですからこそ、最初に臨時国会で教育基本法を改正し、そしてこの国会に間に合うようにこの三法案をつくり、提出をさせていただいたわけでありますが、しかし、それは決して拙速ではない、このように思うわけでございます。
  まずは、昨年の教育基本法の改正につきまして、十分な御議論をいただきました。そして、本年一月の教育再生会議の報告や三月の中教審の答申を受けて、緊急に必要とされている教育制度の改革、改正について提出をしたものであると思います。そしてまた、この三法案につきましては、以前から中教審においてもずっと議論がなされてきたことであり、むしろ、なぜもっと早くやらなかったのか、このようにも要請されていた、こう思うわけでございます。
  もちろん、教育の改革については、この三法案だけではなくて、これからまだまだやるべきことはたくさんあります。その中でも、再生会議で今、第二次報告に向けて議論がなされているわけでありますが、今後とも、さらに教育の質を向上させていくためにも、今回民主党から対案が出たことは大変よかったと思います。建設的な議論を重ねながら、我々も、皆様方の御意見にも耳を傾けながら、よりよい仕組みをつくっていきたい、このように思っております。(拍手)

○笠委員 できることはやっていくということは、やはりこれは今まで本当に怠慢ですよ。もう中教審でさまざまな問題点が出ていて、今もうはっきり申し上げて、教育再生会議の中で出てきている意見というのは、これまでのいろいろな議事録を拝見すると中教審の中でも出てきているような内容でございますよ。
  ですから、総理がそうやって、これまでむしろ遅過ぎたぐらいだ、急ぐんだというのであれば、逆に、この教員の質を高めていく問題だって、養成過程のこともあるいはその採用のあり方についてもセットで出していただくことの方が非常にわかりやすいわけですよ。問題点も明らかになりますし。やはり一つ一つつながっていく話ですよね。もうただ単に更新と研修だけ、これだけでもう教員の質の確保ができるというのであれば、私は、それが政府の方針だとおっしゃるのであれば、それはこれでいいんでしょう、この政府案で。しかし、どうもそうではないという認識は我々も共有できているので、これはいたずらな現場の混乱を招かないためにも、やはりしっかりと総合的な政策というものを打ち出すのが本来の教育再生のあり方じゃないかというふうに思うわけです。
  そこで、伊吹文部科学大臣、お待たせをいたしました。一点お伺いをしたいと思うんですが。
  教育再生会議、これは安倍総理が、教育再生へ取り組む、自分のもとにしっかりと助言をしてもらう機関をつくるんだということでこれを設置して、そこでの議論を受けて今回の三法案が出てきたと思うんです。ただ、何を法案化するか等については、当然文科大臣も入っておられるわけですけれども、どうも、中教審で積み上げてきた議論があるにもかかわらず、この再生会議が登場して、そして、何か見切り発車的なものに拍車をかけていったような気が物すごくするわけですよ。
  再生会議のそもそものあり方については、文部科学委員会などで私も議論をさせていただきました。当初は大臣も率直に、首をかしげながら、苦しい答弁をされておりましたけれども。大臣、また五月末にですか、教育再生会議が二次報告を行うというんですけれども、要は、この教育再生会議で何かが決められて提言が行われたことを受けて法案化したり、あるいは制度を、国会の議論が必要ないものもあるでしょう、そういったものを実際に改革を進めていくということがこれからの安倍内閣のこの教育再生での取り組みという認識でよろしいんでしょうか。

○伊吹国務大臣 まず、随分焦っている、急ぎ過ぎだ、全体像を示してからというお話がありましたけれども、大いに急いでやらねばならない教育の現状があるときに、例えば、おなかがすいているときにメニューをみんなそろえてから、それではおはしをとってくださいというわけにはいかないでしょう、それは。急ぐものからやはり、おなかがすいているときは、目の前にあって、最初に処理しなければならないものから手をつける。
  だから、再生会議は、いつも先生にも御答弁をしているように、安倍総理が自分の教育再生のためにいろいろな意見を聞きたいということで、閣議決定をもってつくった組織なんですよ。だから、政治的な意味は非常に大きいです。しかし、教育というのは、笠さんと私と安倍総理と、みんな少しずつやはり教育観というのは違うと思います。だから、いろいろな国民の方の意見を聞かねばならない。その国民の方の意見を聞く一つの大きな場として再生会議というものがあると私は考えています。
  ですから、そこで出てきたものを、最終的に安倍内閣として総理が決断をされて、こういう形で法律化してくれと言われたので、私はそれを受けてやっているわけでして、むしろ、再生会議の第一次提案どおり方向性がなっているものは余りないですよ。今までの継続性とか、しかし再生会議のアイデアも入れながら、それを法律的に組み上げていく。もちろん与党と、一番怖い大島座長がおられますから、それはよく相談をしてやっております。
  そして、こうして何よりも今ここで、国民の代表である皆さん、国権の最高機関にお諮りをして、そして決めてやっていくというのが、日本の統治の仕組み、憲法の規定しているところです。

○笠委員 私が今申し上げましたのは、まさに今大臣が、再生会議は幅広く聞いていく中の一つであると、確かに政治的な総理の思いはありましても。だから、重いものであるわけですよ。しかしながら、それが決定したからそのとおりに必ずしもなるとは限らないし、やるわけではないということを、確認を改めてさせていただきました。
  であるならば、私は、これは、実は自民党の馳委員がこの審議入りのときの本会議の中でも求められておりましたけれども、議事録を公開するのか、それとも、議事を公開しないのであれば、本当にこれは安倍総理の一つの私的な、いいじゃないですか、総理に対してアドバイザーがたくさんおられて、同じような考えを持った方々にいろいろな意見をいただくのは。ただ、マスコミに対しての発表の仕方が非常にこれはまずいと思うんですね。
  ですから、きょうも午前中議論がありましたけれども、先般の親学の問題についても、確かに中身はいいですよ。しかし、それぞれの委員の方の思いで、それを何か、さも押しつけていくような、それを、国会のこの委員会の中で、あのときには大臣が否定をされました。そうすると、今度の報告からは少し表現を変えていくとか。否定というのは中身の問題じゃないですよ。要するに、押しつけ的にものをやることじゃないんだというようなことを大臣が素早く答弁をされましたので、恐らくその影響もあったんでしょう。だから、非常に混乱しているように見えるんですよね、再生会議での議論というものが。
  ですから、今、国会でこうやって、せっかくまとめ上げて政府が出してきて、我々がまた民主党としての対案を示して、本来ここでの議論というものが、伊吹大臣がいつもおっしゃっているように、国権の最高機関としての議論というものと、何か官邸でにぎやかな、無責任とまでは言いませんけれども、一人一人のメンバーではなくて、無責任にブリーフをする人たちがいたずらな混乱を招いているということについては、少し私は運びというものを考えていただきたいし、本当にブリーフなんかせずに議事をすべて公開する、それをまた国民の皆さんにも見ていただく。ただ、議事録というのは一カ月とかおくれてですからね。だから、総理、やはりそういう運営のやり方というものを少し考えていただいた方がいいかと思うんですが、いかがでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 この議事につきましては、記者ブリーフィングをして議事の要旨を説明して、そして議事録をすべて公開しています。要は、やっている最中を実況中継的にそれをすべて公開するかどうかということでありますが、しかしそれは、やはり自由な議論がしにくいという側面もあるわけでありますし、むしろ、そこで逆に一部だけが報道されるという懸念というのもないわけではないですよ。ですから、そういう意味において、しっかりと冷静に見ていただけるように議事録は文書で公開をしているということではないか。
  当然、この再生会議の皆様も、広く、見識のある方々に集まっていただきまして、そしてスピーディーに取り組んでいくという必要があると思います。そして、私も入って、文科大臣も入っています。その中でまじめに責任感を持って議論をしているということも申し上げておきたい。
  そして、いろいろな議論を呼んでいます。私は、むしろ議論を呼ぶ議論をしていただきたい、このように言っているんです。タブーを恐れずに議論をしていただきたい。だから、論議を呼んでいるのは当然事実。むしろ私の望むところであろう。皆さんに議論をしていただく、そして、注目をしていただく中においてこの第一次案を取りまとめていただいたわけでございます。
  そして、できたものについては、当然与党は与党で審査をしていただき、そして、何といってもこの国権の最高機関において国民の代表たる皆様方に御議論をいただいている、こういうことではないかと思います。
     〔委員長退席、小坂委員長代理着席〕

○笠委員 今総理が、まさに国民的な議論を呼び起こしていくためのタブーなき議論を大いにしてもらいたいということであるなら、これは本当にリアルに、しっかりと、だれもが傍聴できるような形の中で。恐らく委員の方々も、私はあの顔ぶれを見ていますと、だれかがいるから言えないなんというような方を選んではおられないと思いますよ。
  だから、逆に言うと、一部のブリーフのやり方等々によって変な誤解を受ける。これは、委員の中の方でもやはりオープンにすべきと言う方もおられるわけですから、もし本当に国民的な議論を、我々政治家だけじゃなくて、国民に向かってそういうことを、この教育の議論、まさに総がかりの、教育再生をやっていくんだ、そのための一つのきっかけなんだと言うのであれば、ぜひこれは、総理あるいは官房長官に、今後このあり方というものについては大いに考えていただければと思います。

○塩崎国務大臣 この公開の問題につきましては、再生会議のメンバーの皆様方で随分たくさん議論をしていただきました。
  一次報告が終わって、二次報告に向けて議論を始められるときもまたこれを議論して、いろいろな議論があったことは今笠先生がおっしゃったとおりであって、その中で、その場の公開というのはとりあえず今回も見送ろう、そのかわり議事要旨を出して議事録を出すということで、ちゃんとそれはもう皆さんに、公開なるからこそ、それをもってきてここでいろいろな御質問を承ったりするわけでありますので、それは再生会議のメンバーの中でガバナンスとして決められたことでありますので、そこはそれで尊重していただきたい、こう思います。

○笠委員 一点だけ申し上げておきますけれども、むしろ私、再生会議のメンバーの方々も、その議論というものが広くそのまま伝わって、また反発もあるでしょう。あっ、それはいいことだと、いろいろな国民の反応もあると思うんですね。またそういったことを受けながら議論していく方が非常にいいんじゃないかと私は思っておりますが、私は、それは御提案ということで、次に移らせていただきたいと思います。
  安倍総理、昨日、党首討論でも小沢代表が、この「美しい国へ」、私も読ませていただいたんですけれども、この中で、イギリスのサッチャー首相による教育改革というものを総理が「教育の再生」のページの中で大変高く評価をしておられます。一九八八年の教育改革法について、具体的にはそういうことだと思うんですが、サッチャーが一九八八年の教育改革法をつくることによって教育改革を断行していく、どの点を評価されているのか、そのことをまずお述べいただきたいと思います。

○安倍内閣総理大臣 私が自由民主党の幹事長代理であったときに、教育の改革、再生のための視察団を英国に送りました。山谷えり子さんや古屋圭司さん等々に行っていただいたわけでありまして、その報告書の中に、一九八八年のサッチャー首相の改革、この改革自体はサッチャー首相が始めて、メージャー首相が引き継いで、そしてさらにブレア首相によってある意味では洗練化されていったという側面もあるだろう、こう思っているわけでありますが、この一九八八年の教育改革法によって、国定のカリキュラムの策定がなされた。そして、全国の学力テストの導入の検討がなされました。実際に学力テストを実施したのはメージャー政権でございますが。そして、学校選択を拡大し、また学校裁量の拡大など、そうした施策を通じて教育水準の向上を目指す教育がいわばかなり大胆に行われた。
  大胆に行ったがゆえに、もちろん教育現場では大変な抵抗もあり、それなりの混乱もあったということは承知をしておりますが、ここがやはりイギリスにおける教育改革の原点ではなかったか、このように認識をしております。

○笠委員 総理、もう一点、今の点に関してお伺いをしたいんですが、総理の教育再生にかけていくこれからの政策、あるいはこれまで行ってきた中で、イギリスのサッチャー首相による、その後、メージャー、ブレアと引き継がれるわけですけれども、このイギリスの教育改革というものは参考にされているんでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 まず、サッチャー首相の持った問題意識ですね、あの本の中でも書いてありますが、公教育を再生していかなければいけない、子供たちの学力が低下をしている。事実、大変な低下をしていました。そして、当時は、イギリスにおいても教職者の組合との関係もあっただろうと思います。そしてまた、教育の内容等について、いわばバランスのとれた教育が、例えば歴史教育においての、行われているかどうかという問題意識を持った。この問題意識について私も共有したところでありまして、その点も、本に書いてあるとおりでございます。そして、その中におきまして、今申し上げましたような改革に手をつけた。また、改革においては、特に教育の分野においては強い意思が必要であるという点も、私は大変参考になったところであります。

○笠委員 二〇〇四年秋の、先ほど総理は自民党の調査団とおっしゃいましたけれども、この英国調査団は、実は私も松原仁議員とともに、これは超党派で、先般元気に復帰をされました平沼赳夫先生のもとでの調査団だったんです。私も二〇〇四年の秋に行ってまいりました。
  確かに、どの国の制度が一番いいんだとか、そういうものはそこと一緒にすればいいんだというような、そんな簡単な問題ではないでしょう。ただ、私がそのときに感じましたことは、まあ確かに当時のイギリスは、イギリス病と言われる、今の日本どころじゃないですね、それぐらい本当に深刻な状況の中で、まさにサッチャー首相が改革を断行する。
  今総理がおっしゃったようなこともあるんですけれども、それまではイギリスというのは、まさに国定のカリキュラム、日本の学習指導要領に当たるものもなかった。それも現場に任せていた。これじゃ大変なことになるじゃないかということで、国の、国定によるカリキュラムをしっかりとつくって、そして、あわせて学校を評価し、そして、それを情報公開していくという仕組みを整えた上で、やはり学校の現場に物すごく権限と責任を持たせたんですよね。学校の校長と、そして学校の理事会、まさに予算権、人事権、これまでもすべて持たせたことによって公教育が再生した。
  むしろ、私は、その後者の方、前者については、そのときも言われましたけれども、実は、当時の英国が、イギリスが、日本をモデルに、日本の学習指導要領、こういったものをモデルに改革をしたわけですね。ということは、我々が学ぶものがあるとすれば、サッチャー首相の行った政策の中から学ぶことができるものがあるとすれば、やはり学校現場に権限を渡していくということをしっかりと考えていかなければならないんじゃないかと思っております。
  そういう意味においては、私どもの民主党案の方が、ある意味では、そういったイギリスのサッチャー首相からブレア首相まで引き継がれてきた教育改革の一つの側面を取り入れているものであるのかなという気がしております。
  そこで、民主党の提出者にお伺いをいたします。
  昨日、総理の小沢代表との議論をちょっと聞かせていただきましたけれども、国と、それと地方公共団体、教育委員会、この責任と権限をどうするんだというところまで行くんですけれども、学校現場に権限をどうするんだという話がきのうもちょっと出てこなかったわけです。
  あえて私どもは、学校現場に理事会を設けて、そして、しっかりとその権限も明確にしていこうということを、これは日本国教育基本法をつくったときからそのことをしっかりと明記させていただいております。その意味について、あるいは、なぜそうしていくのか、それが必要なのかということについて、法案提出者にお伺いをいたしたいと思います。

○牧議員 大変いい質問をしていただきまして、ありがとうございます。
  今回、先ほど安倍総理の答弁の中でも、いい対案を出してもらって、いいとは言わなかったかもしれませんが、対案を出してもらって、活発な議論になってよかったというお話がございましたけれども、ただ、私ども、今御指摘があったように、この私どもの法案というのは、昨年提出をさせていただいた我が党の日本国教育基本法案、これにのっとって、その中でも重要な柱の一つである国と地方との責任分担、この部分をなす私どもの法案でございますから、対案というつもりでこれを出したというよりも、我が党の日本国教育基本法案の中の一つのパッケージとして今回提出をさせていただいたというふうにまず御理解をいただきたいと思います。
  そして、今御指摘のあったお話でございますけれども、私どもは、教育現場におけるさまざまな問題に、国の権限をただ強化する、国が関与できる仕組みをつくることによって、果たしてそれが本当の解決に結びつくのかということには、これはつまり政府案ですね、これに対しては非常に疑問を持たざるを得ないし、国民がこういった方向性を望んでいるとも思いません。
  なるだけ現場主義、現場主権と言った方がいいのかもしれませんけれども、即応できるそういう仕組みをつくるためには、私どもの法案の中では、学校理事会を設置して、ここが学校の運営そのものを権限と責任を持って行うという仕組みをつくったわけであります。
  ついでに申し上げれば、教育行政については、首長が責任を持ってその行政をつかさどるということもはっきりと明記をさせていただいたところでございます。本当の意味での問題解決には、やはり、きちっと現場が権限と同時に責任も持つという体制をつくってこそ、この問題、さまざまな問題に対処できると思っております。
  先ほどの安倍総理のお話の中にも再三出てきた、国民総がかりというお話がございました。確かに私たちは、この教育問題、国民総がかりで取り組まなければならないという気持ちは、もちろん同じ気持ちを持っておりますけれども、ただ、総がかりが、本当に責任の所在がわからないということになってしまってはいけない。そういう意味合いで私どもは今回の新地教行法案を提出させていただいた次第であります。

○笠委員 私もやはり、今答弁者から話がありましたように、伊吹大臣がまさに御出身の京都、本当に最先端ですよね。地域で、地域の力で、そして学校現場に権限を、今の法体制の中でコミュニティースクール等々を進めながら取り組まれている。そういう地域が本当に今たくさん出てきているんですね。全部無責任に渡すということじゃないですよ。しかし、全体として、国が最終的な責任は負うものの、あるいは評価もしていく仕組み、あるいは環境づくりということは国が責任を負わなければなりませんけれども、具体的に、自分たちの地域の公立の学校をどうやって運営していくのか、あるいは今問題があるんだったらどうやってよみがえらせていくのか、そういったことがもっとできるような制度の検討を、学校現場の、学校の権限というものを今後明確にしていく考えがあるのかどうか。
  これはちょっと、その思いを安倍総理にお伺いいたしたいと思います。

○安倍内閣総理大臣 学校の現場にできる限り権限を移していくという方向性については、私も賛成でございます。現場に権限を移すと同時に、現場には当然責任を持っていただかなければなりませんが、何といっても、やはり現場のことを一番よくわかっているのは現場の校長先生初め先生方であろう、こう思うわけでございます。
  ただ、すべての権限を現場に移せばよいわけではないというのは当然のことでございまして、教育の格差が広がっていくということに対する懸念もございます。そうしたことを慎重に踏まえて制度設計は行っていく必要があるのではないかと思います。
  しかし、方向性については、現場に権限を移譲するということについては、基本的に賛成でございます。

○笠委員 やはり教育行政で、あともう一点。
  随分この委員会でも、イズムの問題ですね。民主党としては、今の教育委員会というものは問題である、形骸化しているから、むしろ首長さんに。先ほど提出者からありましたけれども。この点について、再三再四大臣から、政治的な中立性が保たれないんじゃないかと、そのことを逆に指摘されたわけでございますけれども、きょうは最後の審議でございますので、ちょっと提出者から、それは大丈夫なんだ、どうやって担保していくのかということを改めてお伺いしておきたいと思います。

○牧議員 これまでの議論の中で、伊吹大臣から、首長に教育を任せちゃって大丈夫なのかと。あたかも、エキセントリックな市長が出てくると、その人によって教育が物すごく大幅に左右されてしまうという懸念を大臣からいただいておりましたけれども、私ども民主党案では、学校運営は現場主義、そして、学校行政、教育行政の責任は首長が責任を負うと。この首長というのは、もちろん主権者である国民から選ばれた人であります。国民の審判を仰いで出てきた人が首長であり、その首長は常に議会に対して、そして議会を通じて市民に対しての説明責任を負うものでございます。その意味でも、私は十分その公正性、公平性というものは担保されると思います。
  さらに、私どもの民主党案では、教育委員会にかわる教育監査委員会という委員会を設置して、この委員会の設置の要件についても、例えば政党に所属する者が二分の一以下であるとか、そういった要件をきちっと備えて、この教育監査委員会が中立公正な目で市長の教育行政を監査するという仕組みをとっておりますから、そういった御心配は当たらないと思います。
  そもそも、例えばこの国会も、国民の皆さんに選ばれた国会議員が来て、その多数党が議院内閣制ですから与党になって、自由民主党の総裁が総理になって、総理が任命した文部科学大臣がこの国の教育行政の責任者であるわけですから、地方で選ばれた人は信用できなくて、では、国会で議院内閣制のもとで出てきた人が信用できるという言い方は、私は地方軽視であり、乱暴だと思います。

○笠委員 中立性というものに配慮をしていくということは大変大事なことですけれども、私も、本当にイズムが全く入らないということが本来あり得るのかというと、それはなかなか難しい。しかし、それが非常に抑制されたものでなければならないし、なるべくそれで偏向するようなことがないように、どう担保していくのかということはもちろん考えていかなければならないんですけれども、今のを、恐らく国民の皆さんがどのような判断をされるのか。(発言する者あり)いや、これについてはもう十分文科大臣とは議論させていただきましたので、次に移らせていただきたいと思います。
  この地教行法の改正案の中で、先ほども議論ありましたけれども、例えば、未履修の問題であるとか、あるいはこれまでのいじめが原因とされる、あるいは原因の子供たちの自殺の問題等々が起こった中で、とりわけ教育委員会あるいは学校の校長を含めたその責任論というものが展開され、そのことについて、どうやってその子供たちを守っていくのかというもとで今回の議論も行われていると思っております。
  そこで、先ほど松本委員の方が若干触れたわけでございますけれども、やはり大事ですよ、教育委員会をどうしていくのか、あるいは学校の現場。ただ、やはり文部科学省は、これはもう本当にこの組織自体を見直していかなければならないと私は思います。その責任というものも非常に大きい。先ほど総理がその点についても思いを述べられました。
  そして、伊吹文部科学大臣も先般、たしか感性ですか、ちょっと足りぬと。でも、本当にこれは感性の問題じゃないですよね。構造的に、どのように組織を、今後内部の体制というものを変えていくのかということについて、文部科学大臣が、今具体的にこうするということじゃなくても、変えていく必要性があるんだと、これは単に一人一人が感性を磨けという問題じゃないという御認識を持っておられるのか、それとも感性だけの問題である、自分がにらみをきかせておけば大丈夫だというレベルでの話なのか、その点について、大臣にお答えをいただければと思います。

○伊吹国務大臣 先ほど先生が、私の出身の京都市の教育委員会のことをおっしゃった。そして、現場へかなり権限をおろして。つまり、これは人を得ればできるんですよ。御党の質問者もいろいろそういう趣旨で御質問になっています。だから、教育長と教育委員に人を得ればできるのと同じように、文部科学省は、ちょっとうるさい大臣が来て大変だと思っていると思いますが、徐々に直していきますから。

○笠委員 まさに人だと思うんですよ、逆にね。これまでの教育行政をずっと日々厳しい大臣のもとで頑張っておられる今の官僚の皆さんも、私は皆さんがそれぞれ頑張っておられると思います。ただ、やはり教育を預かる文部科学省だから、例えば人材の採用あるいは育成、養成、これは教師の質を高めると同じぐらい、私は今後取り組んでいかなければならない大きな課題じゃないかなと思っています。
  それで、お伺いしたところ、ことしから初めて若手の職員の学校現場への派遣というものを大臣が始められた。私、そのことは評価します。ただ、遅いですね、これも。私も委員会で、余りにも現場を見ていないんじゃないかと。確かに、教育長として行ってみたり、いろいろな形で出向していくというケースはあっても、本当に今の公立の学校の現場がどうなっているのかということを知った人材がやはり省の中におられるということが、当然、今後、この三法案にしても、成立をすれば、その後いろいろな具体的なことが省令の中で定められていくわけです。やはり私もいろいろな地域の皆さんから話を伺っても、学校現場のみならず、文部科学省の評判というのは悪いですよ、本当に。別に大臣の評判が悪いとかそういうことじゃなく。何かやはり、我々の現場のことを知ってくれているんだろうか、そういう意識ってあるんですね。これは我々も謙虚に、また我々に対する目もそういう目で見られているんだと思います。
  しかし、やはりこの役所というものをもう少し、教育の責任者でございますので、この人材の育成というものについて、お二人の方が今度静岡と香川のそれぞれ中学校に一年間派遣されるということでございますけれども、もう少し枠をふやして、そしてそれぞれの、それこそ十年の免許制もあるんですから、若い人に限らず、少しスキルアップもしていただく、新しい今の現場、十年前とは随分変わっているでしょう、そういうのも見ていただく。
  それを拡大していくような方針があるのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。

○伊吹国務大臣 文部科学省の職員だからといって特例的に教壇に立たせるというわけにはいかないんですよ、これは法治国家ですから。免許を持っていないとだめなんですね。だから、採用の際にも、教員の免許を持っている人あるいは特別免許的な扱いのできる人、こういう人をやはり考えて採用をするとか、そういうことも含めてやっていく必要があると思いますし、何よりも、私の部屋にも書いてあるんですが、森有礼さんが、文部省の本来の責務はということ、これは国に教育権のすべてが集中していた明治に書かれたものですから、このとおりやるというわけにはもちろんいかないんですけれども、ここに書いてある日本の将来を担う人材、先ほど来、例えば田島先生がおっしゃったように、格差の問題を解決しなければ教育再生ができないんじゃなくて、教育再生というのはまさに格差の問題を生じさせないためにやっているわけですから、そういう使命感を持って私以下全員がこの問題に取り組むという決意でやりたいと思います。

○笠委員 その方向で本当に力を発揮していただければ。
  それで、一点だけ、これは私の提案でございますけれども、採用に関しても、例えば、社会人として五年、十年経験があるとか、あるいは教職員としての経験があるとか、何か一般的な、そういうしっかりとした経験をした方を手厚く採用をしていくというようなこともいいでしょう。文部科学省に関して言うと、特に教育に携わられる方々に関して言うと、総理、そういったことも今後この教育再生の中でお考えいただくことはできないでしょうか。これは私の提案でございます。
     〔小坂委員長代理退席、委員長着席〕

○安倍内閣総理大臣 採用については、いろいろな経験をした方々が役所で行政を行う、これは御提案としても傾聴に値する、このように思います。
  しかし、私は、決して、文部科学省の人たちが特別悪かったということではないんだろう、このように思います。
  確かに、いじめの問題や未履修の問題が起こったときに、学校の現場あるいは教育委員会が適切に対応してこなかった、その中にあって、文部科学省が適切な指導を行ってきたか、こういう反省はあります。だからこそ、今回、教育委員会の責任、権限等々について明確化したわけであります。その機能も充実化した。そして、教育委員会が適切な対応をしなかった場合においては、国も指示や是正の要求ができるようにした。それは、国も権限を持ったけれども、大きな責任を持った。この大きな責任を持ったということを自覚して、文部科学省の皆さんにも当たってもらいたいと思います。
  役所において、いろいろな問題、いじめの調査の結果等々の問題でありますが、これは役所全般に言えるかもしれませんが、間違いがない、いわば無謬性を非常に大事にし過ぎるんですね。やはり、人間だったらうまくいかないこともありますし、間違っているということもある。ですから、それは、間違っていることは謙虚に認めて、直ちに対応していくということが求められているのではないか、私はこのように思いますし、もう既に文部科学省も、今までの点を反省しながら、検討、検証しながらしっかりやってもらえる、私はこのように確信をいたしております。

○笠委員 私は、本当に今頑張っておられる皆さんがだめだとか、そういうことを言っているのではない。ただ、公立の学校がこれだけ多岐にわたってある中で、さまざまなことが起こっている。
  だから、本来であると、これは私の個人的な考えなんですけれども、大体、文部科学省と、省庁再編のときに一緒にしたこと自体が。本来、教育は、官邸のもとに教育中央委員会ぐらいをつくって、しっかりと特化していくというぐらいの改革を進めるべきじゃないか。再生会議じゃなく中央教育委員会ぐらい、本当にそれぐらいのことをやっていってもいいんじゃないか、とりわけ人づくりというもの、教育というものを最重要課題に掲げていくのであれば。これは我々も同じ思いでございますから、そのことを申し上げておきたいと思います。
  それで一点、先ほど来、この委員会で、本当に教育予算というものについてはしっかりと拡充していこうよということ、このことについては、これはもう与野党問わず、ここにおられる皆さん、もう本当にコンセンサス、合意ができていると思うんです。
  そして問題は、これから、先ほど来総理も、しっかりと、真に必要な教育予算というものについては、やはりめり張りのある、今度は概算要求から安倍内閣としての予算というものを今度初めて組まれるわけですから、そのことについては、きょうの力強い総理と文部科学大臣の御答弁がありましたので、その結果というものをしっかりと私も見させていただきたいと思います。
  一つは、教育の格差という問題。これが固定化していくと、総理もおっしゃっていますね、親の経済力によって、あるいは地域の経済力によって学ぶ場というものがなかなか、その場というものの機会が、この機会の平等というものが保たれなければいけないんだ、その機会というものはしっかりと守ってあげなきゃいかぬと。
  その中で、これは再三再四私どもが求めておることなんですけれども、私、きょうは主に義務教育の話が多かったわけですが、とりわけ高等教育、これについても、大学に行きたい、学びたいという人たちは、本当にみんなが行けるようにしてあげたい。そして、私自身も高校、大学と、奨学金をもらって、それで卒業いたしました。本当にありがたい国だなと思います。
  そういう中で、これは何度か私ども指摘しているんですけれども、今、国際人権規約の例の第十三条二項の問題ですね。高等教育の漸進的な無償化状況の批准を、いまだに日本がこれを留保しているわけですね。百五十カ国を超える中で、批准していないのがルワンダとマダガスカルと日本だけなんです。
  私は、やはりこれは、国連からもなるべく速やかにやってくださいよという要請も、昨年、たしか六月か何かを期限に頼みますよというようなこともあったと思うんです。ですから、安倍総理が教育というものを最重要課題として位置づけるのであれば、この高等教育、学ぶ機会を保障していこうという意思を国際社会に向かって、あるいは、本当に一番大事なのは、これから日本の大学へ行こうあるいは他の高等教育を受けたいと思っている子供たちに夢を与えられるように、ぜひ批准をするように御決断をいただけないでしょうか。総理、よろしくお願いいたします。

○安倍内閣総理大臣 まず、奨学金制度については、我々もぜひこの奨学金制度を充実させていきたい、こう考えておりますし、また今までも充実をさせてまいりまして、平成九年から十九年度の十年間において貸与人員は約八万人ふえております。また、事業費におきましても八百六十三億円ふえているわけでございますし、また、笠委員のような有為の人材を育てるために有益に使われている、このようにも思います。
  かつて西鉄ライオンズの稲尾投手が高校を卒業して西鉄と契約をして契約金をもらったとき、その足で、契約金でもって自分が受けてきた奨学金を返したという話を私も聞いたことがあるわけであります。
  そこで、国際人権A規約の高等教育無償化の条項についてでありますが、無償化の際の財政負担の問題や、また高等教育段階に進学しない学生との負担の公平性の見地から、また高等教育において私立学校の占める割合が大きいために、私立学校を含めて無償化の方針をとることが困難であることから、留保をしております。
  しかしながら、家庭の経済状況によって就学の機会が奪われてはならない、私もこのように思うわけでありまして、教育の機会均等を図っていくことは極めて重要であろう、またそれは私たちの責務である、こう認識をしています。その観点から、奨学事業等を通じた支援を一層充実させていきたい、努めていきたい、このように思っております。

○笠委員 総理、これは、「高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。」ということで、何もこれを批准したからすぐに無償化しろということじゃないわけですよね。現に、この百五十カ国以上の中には、奨学金制度で充実をさせていくとか、それはいろいろなやり方があるわけです。
  ただ、やはり、なぜ日本だけがこれを批准できないのかということ、私、これがどうしても納得できないんですよ。今、財源の問題だとか公平性とか。何も大学に行くだけがすべてじゃありません。しかし、大学で学びたいという人たちが学べるような環境をつくってあげることということですから、その留保する理由というものは、私は、どうもそれじゃ説得力がない。
  ですから、安倍総理のときにやりましょうよ、ぜひとも。もう一度お願いをいたします。

○安倍内閣総理大臣 日本という国は、こういう条約を批准する際は極めてまじめにやっております。
  御承知のように、アメリカはそもそもこの条約を締結しておりません。また、ドイツ、イギリスも、締結をして批准をしているんですが、実際はその後有償化になっているということもありまして、日本は、国際的な約束は、したからには守らなければならないという観点から、厳密にこれは考えていかなければならない、このように思っております。

○笠委員 時間が迫ってまいりました。
  総理、では、日本がこれを批准して、モデル的な国になればいいんですよ。まさに教育文化立国として日本が範を示していくと、国際社会に向かって一つのメッセージにもなると私は思うんです。ですから、よその国がどうこうではなくて、本当に批准をして、まじめに日本はそのとおりにしっかりと学びの機会を保障していく、それこそが教育再生ではないかということを申し上げまして、時間が参りましたので終わらせていただきたいと思います。
  どうもありがとうございました。