笠ひろふみ衆議院議員 RYU HIROFUMI official website
国会質疑
 

166-衆-外務委員会-9号 平成19年04月27日

○笠委員 どうもおはようございます。民主党の笠浩史でございます。
  先般、今回のいわゆるハーグ条約並びにその議定書につきましては、文部科学委員会の方でも、今回の批准へ向けたこれの国内法、この議論でも私も質疑をさせていただいたんですが、本当に文化財をしっかりと守っていく。あるいは、そうした形で、今、多くの世界じゅうの重要な文化財が危機にさらされているというような例もございます。そういった修復活動等々に向けた日本の取り組みを積極的に進めていくことは、大変外交上も意味のあることであると考えております。
  昨年の通常国会でも、超党派の、そして議員立法として、海外のこうした遺産を修復していくための推進のための法律案を全会一致で成立させていただきましたし、冒頭ちょっと大臣にお伺いしたいんですが、外務省と文化庁が協力をして、ある意味ちょっと今回のハーグ条約とは別ですけれども、こうした修復活動等々に向けて、やはり予算もしっかりと今以上につけて今後取り組んでいかれることも含めた、文化財外交というものに向けた決意というものをお伺いできればと思います。○麻生国務大臣 皇紀二千六百六十六年、西暦で数えましても一千数百年の長きにわたって、一つの地域に一つの文化、文明をつくってというような国というのは、我々にとっては当たり前でありますけれども、そう当たり前の国かと言われると、多分、当たり前と我々思っている国の方が少ない、現実だと存じます。
  しかも、これだけのところで、一つの文化をつくり、文明と言われるものすら構築しているという国はそんなにありませんので、そういった意味では、こういった我々にとって当たり前のものがほかのところから見ると物すごかったりいたしますので、そういう意味での遺産というものは、我々として、気がついていないけれども、ほかの人の方が、これは遺産、大したものだと言われることがいっぱいあります。そういった意味では、国際協力という、いろいろな意味で、我々も教えてもらうところもいっぱいありますので、ぜひ、こういったものは、これは何も外務省とか文化庁だけの話ではなくて、きちんと保全、保護、保存されるべきものだというものはいっぱいあります。
  ただ、予算がないために、いろいろな形で、空気が悪くなって色が落ちるとか、いろいろなものがありますが、そういったものはきちんと今後やっていくというのに関しましては、積極的な対応を示していく必要があろうということに関しましては、全く同じ意見であります。

○笠委員 我が国の文化財も大事でございますし、ただ、これは、どこの国の文化財であれ、まさに地球の財産というか全人類の財産であるとも思いますので、そういう意味で、本当に積極的な貢献をしていくよう改めてお願いを申し上げたいと思います。
  それで、残念ながら、今回、このハーグ条約、当時はたしか我が国が国連にもまだ加盟していなかった時代から、実は、当初、一九五四年五月のハーグにおける国際会議に代表団まで派遣をして、そして、ハーグ条約と第一議定書の作成には積極的に取り組んでいたんだと伺っております。ただ、同年の九月六日に条約及び議定書に署名をしたものの、その後のさまざまな国内調整等々に手間取ったこともあるんでしょう。この理由というのは、これまでも、有事法制の整備がなされていなかったことであるとか、あるいは、この特別な保護に関する文化財と軍事施設の十分な距離の条件等々、そういったことをこれまでも政府は繰り返し、ここまで長引いてしまった原因についてはこの国会の中でも答弁をされているわけでございますけれども、それにしても、こうした文化財の保護へ向けて積極的にやっていくんだという割には、ちょっと余りにも、半世紀以上というのは遅きに失した感がぬぐえません。
  この点について、もう半世紀以上たっているんだということについて、大臣の感想というか、理由の方はいいんですけれども、率直な感想をちょっとお聞かせいただければと思います。

○麻生国務大臣 今、笠先生からも御指摘がありましたように、この条約を実際に実施するときに当たりましては、これはもう間違いなく、今言われましたように、有事法制との関係というものが極めて密接にあります。その有事法制というものがまだできておりませんというのがやはり非常に大きな背景として、私どもとして、制度上困難があったというのが、これは国内的にはもう間違いない事実であろうと存じます。締結は困難だったと思うんです。
  もう一つは、三年前でしたか、二〇〇四年だったと思いますが、第二議定書が正式にスタートしておりましたので、いろいろな意味で問題点が手当てされましたし、有事法制も成立をしておりますので、いわゆる国内の担保法というものを作成できるという判断に至ったというのが、今回こういった形で御審議をお願いできることになった。これはまことに意義深いというのが、感想と言われれば、難しかった話ができるようになったのは極めて意義深いものだというのが私の率直なところですので、できました以上は、我々としては、さらに、締約していないところもありますので、そういったところを含めて積極的に働きかけると同時に、国内、いろいろな意味で、文化財の保護に少々予算やら何やら削られてきているというのがこれまでの経緯でもありますので、こういったところに関しましても当然配慮をしていかねばならぬというような感じがいたしております。

○笠委員 今大臣おっしゃったように、やはりちょっと出おくれていますので、その分挽回するぐらいの形で、この国会でこれが承認を得たならば、その後の、まさに我が国の政府としてどういう形で臨んでいくのかということがやはり大事であると思いますので、その点についてはよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  それで、少し今後のことを具体的に幾つかお伺いいたしたいんですけれども、先ほど我が党の長妻委員の方からも冒頭に質問があったんですが、私、文部科学大臣にも同じようにお尋ねをしたんですけれども、近年、文化財の保護という観点から考えると、武力紛争の一番当事国になっているのはやはりアメリカなんですよね。それはもう間違いのないことだと思います。
  ただ、残念ながら、アメリカがハーグ条約に加盟をしていない、締結をしていないということについては、やはり相当強く、他国、幅広くもっともっと多くの国に締結を働きかけていくことも大事なんですけれども、やはりアメリカに対して何とか働きかけを同盟国として強めていただいて、有事の際には当然我が国の文化財を、仮に日本が有事の際、武力紛争になった場合に、やはり当然ながら、アメリカ軍と一緒に日米同盟ということで国内においても軍事展開をしていくということになるわけでしょうから、そのときに、アメリカだけがこのハーグ条約を批准していないということになれば、文化財を守るという観点に立っても、やはりそれはいろいろと問題が出てくるんじゃないかとも思いますので、再度アメリカに対して働きかけをしていかれる決意と、加盟をすべきだということを今後どのような形で具体的に取り組んでいかれるのかを含めて、お伺いいたしたいと思います。
     〔委員長退席、小野寺委員長代理着席〕

○岩屋副大臣 先ほど大臣が長妻委員にお答えをしたとおりでございまして、アメリカの議会で動きが見られない、なぜ見られないのかというのはなかなか我々が判断するわけにいきませんが、大臣がお答えになりましたように、我が国がしっかりと締結をした、国内の担保法もつくったということになりますれば、同盟国である米国に対してもしっかりと働きかけを行っていくつもりでございます。

○笠委員 あわせてもう一つお尋ねしたいんですが、仮に条約の締結が難しかった場合でも、せめて、我が国の文化財を守るという点に立ったとき、保護のために、アメリカに対して、この条約の第十八条の三項の規定に基づいて、この条約の規定を受諾する旨宣言させることを申し入れる必要があるという規定があるわけですけれども、これについて、政府としてのその必要性についての見解というものをお伺いできればと思います。

○山本政府参考人 お答えいたします。
  先生御指摘のように、ハーグ条約におきましては、非締約国であっても締約国との間での武力紛争に際しては条約などの規定を受諾するということを宣言すれば条約などの規定を適用することが認められています。
  我が国としましては、この十八条3の規定に基づいて、条約が適用される場合を含めまして、武力紛争の際に文化財が適切に保護されることが非常に重要だと考えていますので、関係国に対してこの必要性を訴えていきたいと思いますけれども、やはりまずは一番基本となります条約の締結、これが一番基本ですので、これを米国などにも働きかけていくことを考えていきたいと思っているのが率直なところでございます。

○笠委員 その点は、本当にまずは締結へ向けての働きかけというのは、それはもうおっしゃるとおりだと思いますけれども、そうならなかった場合のことも含めて、対アメリカということに関してはやはり考えておかなければならないんじゃないかと思いますので、よろしくお願いをいたします。
  話題をかえますけれども、一九七二年にユネスコの総会で世界遺産条約が採択をされて、締約国が今、三月現在、恐らく百八十三カ国に上っているんじゃないかと思います。
  世界遺産条約についてはこれだけの国が締結をしても、実はハーグ条約は締結していないという国も、今のアメリカを含めて非常に多いわけでございます。世界遺産条約は、文化遺産や自然遺産を人類全体のための世界の遺産として損傷、破壊等の脅威から保護し保存することを目的として結ばれた条約でございますけれども、本来、この大きな目的からすれば、ハーグ条約も、ある意味では一つの、文化財を守るということでいえば、私の感じで言うと、やはり世界遺産条約をしっかりとここに締約をしている国は、国内法整備等々いろいろあっても、やはりハーグ条約もしっかりと締結をしていくということが大事なんじゃないかと思いますけれども、その点についてお答えをいただければと思います。

○山本政府参考人 先生御指摘のとおりだと私どもも思っております。
  ハーグ条約は、まさしく御指摘のとおり、世界遺産条約などほかの文化財、遺産等の保護のための国際的な法的枠組みの主要な部分を構成しております。特に、武力紛争の際の文化財の保護に特化した条約という意味では極めて重要だと考えておりますので、より多くの国がこの条約などを締結することが大事だと思っております。
  したがいまして、我が国としましても、今度、条約及び議定書を締結した後は、関係国に対してこれら条約及び議定書を締結するよう働きかけていきたいと思っておりまして、この点は先生と同じ考えでございます。

○笠委員 これはちょっと教えていただきたいんですけれども、世界遺産の登録一覧表ですね、今記載されているのが八百十二件と伺っているんですけれども、もし違っていたら訂正してください。この八百十二件の中で、この対象となる、一覧表に記載されている中で、ハーグ条約に締結していない国の遺産というのがどれぐらいの数になるのか、教えていただけますか。

○山本政府参考人 お答えします。
  現在、世界遺産の総数は八百三十件というふうに承知しております。
  ハーグ条約の未締結国で世界遺産一覧表に記載されている文化遺産を所有している国が七十カ国ございまして、数は百件でございます。

○笠委員 それと、もう一点。今度、ハーグ条約の第一条に、保護される文化財の定義がなされておるんですけれども、ここで、この世界遺産一覧表に記載されている中で保護される対象とならないものが何件あるのか、また、それはどのようなものなのかということについて、恐らく自然遺産じゃないかと思うんですけれども、それ以外にも、自然遺産以外にもあるのであれば、そのことも含めてお答えをいただければと思います。

○山本政府参考人 お答えいたします。
  御指摘のとおり、ハーグ条約上対象にならないで世界遺産の対象になっているものは自然遺産でございます。自然遺産の数は百六十二件、世界遺産には登録されてございます。

○笠委員 自然遺産は、今お答えがあったように、百六十二件というものはハーグ条約の第一条の定義によって保護される対象とならないと。締約国がふえていけば、前段、最初にお伺いをした百件の問題というものは解決をしていくんですけれども、ただ、この自然遺産をどうするのかということは、武力紛争時に果たしてこれを守っていくのかどうかということもやはり今後は考えていかなければならない点だと思うんです。
  参議院の文教科学委員会のちょうど議論の中で、議事録を拝見すると、伊吹文部科学大臣が、なぜ今度の条約で世界遺産条約に含まれているものがこのたびの協定の、つまりはこの文化財の定義、これによって第一条に含まれないのかなという疑問は私も持っておるというような御答弁をされているんですけれども、大臣、未締結国の問題ではなくて、こういう自然遺産など、世界遺産というものに登録をされているにもかかわらず、ハーグ条約の定義によって最初から守られる対象となっていない、その点については、率直な感想というものを、どういうふうに受けとめられているか、感想をお述べいただければと思います。

○岩屋副大臣 先生のおっしゃる気持ちは私もよくわかりますというか共感をしているところがあるんですけれども、我が国の方から、文化財の定義について、ハーグ条約における交渉過程で、名勝や天然記念物を保護の対象とすべきではないかと主張した経緯があるようでございます。しかし、条約においては、保護の対象となる文化財は動産または不動産等と定義されることになっておりまして、先生御指摘のように、自然遺産は保護の対象となっていないということでございます。現時点で文化財の定義の見直しを働きかけるというのはちょっと現実的ではないのではないかというふうに思っております。
  一方、先生おっしゃったように、世界遺産条約等による保護、あるいは国内においては自然環境保全法等が整備されておりますし、文化財保護法によっても名勝及び天然記念物に対する保護が図られているところでございますので、そういうものを総動員して自然遺産についてもしっかりと事実上保護ができるようにやっていきたいと思っているところでございます。

○笠委員 私、これはすぐできることじゃないんですけれども、例えばこうしたハーグ条約であるとかあるいは世界遺産条約であるとか、幾つかありますよね、こうした文化財保護にかかわる、あるいは自然の保護。やはりそういうものを、何か点、点で、一つ一つこれまで手続を踏んでできてきたんでしょうけれども、もうかなり年数もたっているので、少しトータルで考えていくような、何か国際機関の中で、ユネスコ中心でもいいと思うんですけれども、そういうリーダーシップを日本としてとっていただくようなことがまさに外交ではないかと思いますので、その点について、今後、長期的な話ではあると思いますけれども、ちょっとお答えをいただければと思います。

○麻生国務大臣 できましたときと今と比べて、笠先生、例えば自然環境保護とか地球温暖化とか、この当時では考えられなかったような新しい事態が起きてきておりますので、いわゆる自然というものに対しての保護とか育成、そういったようなものに対する価値観というものが随分変わったんだと思うんですね。
  そういう意味では、今言われましたように、今のルールではそれの対象にはなっておりませんけれども、このハーグ条約の中に入れるか、もっとまた新たに別なものをつくるか、いろいろな考え方があるんだと思いますけれども、こういった自然遺産というものに関しても、別の観点から大事にすべきというようなことは日本もかねてから主張もしておりますので、今後、この種のことに関しましては引き続き言っていきたいと思っております。

○笠委員 本当に今大臣のおっしゃったことは大事だと思うんです。恐らくこのハーグ条約ができたころも、想像するに、まだやはり第二次世界大戦などの記憶が新しく、そこで、どちらかというと、数々のいろいろな遺産であるとか史跡であるとか神社仏閣であるとか、そういったものが破壊をされて、これはいかぬということでこういうものをつくろうという機運が盛り上がってきていたんだと思うんですね。
  ただ、本当に、半世紀以上たって、やはり物に対する価値とか、あるいは環境の問題、今おっしゃったような自然の問題を含めて、共通して守っていく対象というものが、単に文化財ということに限らずですけれども広がっている中で、財産というものをどう考えていくのかということで、またそういう議論をぜひ積極的に提言をしていかなきゃならぬと思っております。
  次に、これも今後のことなんですけれども、ちょっと国内的な手続の話を幾つか確認させていただきたいんです。
  このハーグ条約及び議定書を締結したら、第二議定書にある、今回定められました強化された保護、こちらの方に、我が国の文化財、要するに対象を、恐らくそこにリストを作成していくということになるんだと思うんです。今ユネスコに設置をされている武力紛争の際の文化財の保護に関する委員会に、我が国で定めたリストをこれから提出していくということになると思うんですけれども、この強化された保護がどういう基準なのかというようなことを含めて、もう少し共通の基準を定めていかないと、どういう文化財を指定していくのかなかなか難しいということで、先般の文部科学委員会の中でも、その状況を見ながらリストの作成に入っていくんだということだったんですけれども、ちょっとこれを確認させてください。今現在、他国でこのリストを提出している国というのはあるんでしょうか。

○山本政府参考人 ございません。

○笠委員 まさに、恐らく他国も同じようにそこあたりの基準を待ってということになるんでしょうが、先ほど申し上げたように、かなり日本の方もおくれていますので、これが本当に国会承認を得たら、もちろん、基準が明確になったらすぐに対応できるような、どの範囲まで指定をしていくのかを含めた準備をぜひ急いでいただき、一番にリストを提出するぐらいの、その基準ができた後ですよ、そういった取り組みをぜひしていただきたいと思います。
  あと、基準ができ上がるのは、示されるのは大体いつぐらいになるんですか。

○山本政府参考人 まだ定かなことはわかっておりませんが、御存じのようにこれは二〇〇四年に発効したものでございますので、これからもし我が国が締結することになりましたら、そういうところも含めまして積極的に話を進めていきたいと思っております。

○笠委員 次にお伺いをしたいのが、武力紛争が起きた場合に、文化財を守ることも大事なんですけれども、当然ながら、国民を守るための自衛隊の活動が、一方で文化財を守るために制限されるというようになると、まさに人の命を守っていくという、これが最優先でございますから、ここあたりの関連について幾つかお伺いをいたしたいと思います。
  先ほど長妻委員の方からも簡単に指摘がありましたけれども、まさに先ほどの第四条で、「武力紛争の際に当該文化財を破壊又は損傷の危険にさらすおそれがある目的のために利用することを差し控える」と規定をされているわけですけれども、我が国の自衛隊、あるいは米軍というのも含まれると思うんですが、アメリカ軍の施設等々と、重要文化財であるとかあるいは世界遺産というような、まだ今指定されていませんけれども、恐らくこの条約を批准した後に該当するような重要文化財とか世界遺産でいいんですけれども、そういう何か自衛隊の関連施設とか米軍施設と距離的に非常にもう一体となっているとか、あるいは物すごく近くにあるというような、そういうケースというのはあるでしょうか、今現在。

○土屋政府参考人 御説明申し上げます。
  先生御指摘の自衛隊あるいは在日米軍基地の周辺にある国指定の文化財といたしましては、例えば重要文化財でございますと新潟県の新発田城、これは陸上自衛隊の駐屯地の近くでございます。あるいは、海上自衛隊の呉教育隊の近くには旧呉鎮守府司令長官官舎、これは重要文化財でございますが、こういったようなものもございます。
  それから、在日米軍基地の周辺にあるものといたしましては、神奈川県相模原市のキャンプ座間の近くに勝坂遺跡、史跡でございますが、こういったようなものもございます。
  また、世界遺産といたしましては、姫路城の近くに、二キロ強の場所に陸上自衛隊の姫路駐屯地があるというように承知してございます。

○笠委員 今具体的にケースを幾つか挙げていただきましたけれども、そういうものを今後対象として、仮に強化された保護ということに適用しようとすると、これは仮にこの第二議定書に基づいて強化された保護に適用する場合でも、やはり軍事活動を支援するための当該文化財またはその隣接する周囲のいかなる利用も差し控えるということは求められているわけですよね。そうすると、その要求を満たすのはなかなか難しいということになるので、そういう場合には、今挙げられたようなものはおのずと、例えば指定をされないのか。それとも、まさかどこかに移すというわけにも、これは動産のものであればいいですけれども、そこのところというのはどういうふうな整理をされていくお考えなのか、お答えいただければと思います。

○土屋政府参考人 お答え申し上げます。
  先ほど外務省の方からも御答弁がございましたが、強化保護の付与が必要なものにつきましては、現在そのガイドラインについて作成中ということでございますので、私どもといたしましては、まずこのガイドラインの作成の内容を見まして検討してまいりたいというふうに存じております。

○笠委員 ただ、今はもちろんまだできていない、作成中ということでございますけれども、恐らく幾つかそういう判断、先ほどのような例もございますので、求められることになってくると思うので、その辺はぜひ、国内的な一つのまさに基準をどうしていくのかということを、やはりこれはあらかじめ、かなり関係部署で、あるいはこれは自衛隊の施設といってもどこまでが本当に対象になっていくのかというのも整理をしていかないといけなくなると思うので、やはり防衛省も含めてこの検討というものをやっておく必要があると思うんですけれども、そこあたりはまだ全然やっておられないということでいいんですか。――わかりました。では、それはぜひまたお願いを申し上げたいと思います。
  それで、もう一点は、実際にこのハーグ条約、議定書を締結した後にブルーシールド等々、これを指定して、リストを出して、そしてその後、ブルーシールドを実際に、もう平時から張っておくのか。武力紛争時にそんなものを、わざわざ標章を張るような余裕はありませんから、恐らく平時から指定をしたものについてはきちんと張っておくようなことが求められてくると思うんですけれども、今回ハーグ条約締結後、こういう文化財をしっかりと指定して、これは武力紛争時も守っていくんですよ、そのことを関係機関とかあるいは国民に対してどのように周知徹底していくかということが非常に大事だと思うんですが、その点について今検討されていることがあれば、お聞かせをいただければと思います。

○土屋政府参考人 お答え申し上げます。
  先生御指摘のとおり、この条約あるいは先般成立させていただきました法律の趣旨につきまして、その周知を図っていくことは極めて重要であるというふうに認識してございますし、また、条約等においても、その周知を図ることを締約国に義務づけているということで、しっかり取り組んでまいりたいというふうに思ってございます。
  特に、条約であるとか、その適切な実施を確保するということについて、例えば流出文化財についての輸入規制でありますとか、あるいは損壊、譲渡等の禁止につきましては、特に広く国民に周知を図ることが必要でございますので、こういった点を十分に踏まえながら、この条約の実効性が高まるように十分に努力してまいりたいというふうに思ってございます。

○笠委員 この輸入規制の部分については他委員会で先般議論させていただきましたので、きょうはその点については詳細は私の方からはお伺いしませんけれども、やはり、民法の部分も含めて、これはいろいろと、多分この条約締結後に取り組んでいかないといけない課題もあると思いますので、またそれは恐らく国会でも議論をしていかなきゃならない点だと思いますので、また別の機会に譲りたいと思います。
  それで、一点、ちょっと、先ほどの武力紛争が実際に起きた場合のことに備えてということともかかわってくるんですけれども、芸術品とか書籍、こういう動産の文化財については、やはり極力安全な場所に避難、集約、そうすることが必要であるということで、これはたしかオランダ、ドイツあたりでは、避難所をもう平時に設置して、そして何かあったときには、あるいはあるおそれが出てきたときには、そちらの方にしっかりと持っていって守っていこうというようなことが取り組まれているようですけれども、我が国としても、数多くあると思うんですけれども、そういう動産の文化財を守るために避難所をつくっておく、つくっていくというような方針でいいのかどうかを確認させていただきたいと思います。

○土屋政府参考人 お答え申し上げます。
  先生御指摘の文化財の避難施設につきましては、どのような施設が適当であるかとか、あるいは新しく施設を設置すべきであるかどうかといったようなこと、あるいはその時期も含めて、これにつきましては諸外国の動向等も踏まえながら、私どもとしても今後検討してまいりたいというふうに考えております。

○笠委員 諸外国の動向を別に踏まえなくてもいいと思うんです、これは全然。国内でやる話なので、実際やっているところもあるし、点在しているままだとこれはなかなか難しいので、ぜひこの避難所、避難施設というものを、やはり平時にしっかりとつくっておくということはやっておかなければ、いつ何が起こるかわかりませんので、やはりそこあたりはスピードアップして、この国会で承認が得られたら、先ほどのリストという面の、そのリストの作成をしていくこととも関連をしますけれども、その避難所、避難施設の中に何を入れていくのかということは前後しても構わないと思うので、ぜひその設置というものも一つ今後の方針の中に組み込んでいただいて、御検討をいただきたいと思います。
  それで、きょう、文化財の話でございますので、ちょっと関連をして、一点違うことをお伺いさせていただきたいんです。
  まず、他国の博物館なりあるいは美術館から、我が国においてその美術品等々が展示をされるというケースが、これは頻繁にあると思うんですけれども、こうした場合に、万が一所有権をほかの国が例えば主張してきたり、あるいは、いやそれはもともと、例えば英国の美術館から持ってくる、その国のものじゃなくて私たちのものなんだというような提訴を受けるようなことがあったときに、我が国はどういう法整備において、しっかりと最初に借りてきた、もともとの英国にしっかりと戻していくという担保をしている法律があるのかどうかですね、それをきちっと戻すことができる。それをちょっと、まず事務的に教えていただけるでしょうか。
     〔小野寺委員長代理退席、委員長着席〕

○岩屋副大臣 今先生、イギリスのことを話されましたが、麻生大臣が、もしイギリスがそんなことを言われたら、世界じゅうから物を集めているので、大英博物館は空っぽになっちゃうなというふうにおっしゃっておられましたが。
  今先生おっしゃったこと、大体どの辺の地域のことを念頭に置いておられるか、想像がつくところでございますけれども、そういう貸出元の国または地域にきちんと返却することを保障する特別の国内法上の制度はあるかという問いに対しては、そういうものはございません。
  ただ、一般的に、多くの美術品が本邦域外から貸し出されておりますし、無事に返却されてきているというふうに承知をしております。

○笠委員 ではちょっと具体的にお伺いをしたいんですけれども、大臣、台湾の国立故宮博物院は行かれたことはございますか。

○麻生国務大臣 うかつに言うと危ないんですけれども、何回もあります。

○笠委員 これは、実は博物院の館長さんなんかも、前にも我々も受けておったんですが、実は、先ほど、冒頭申し上げた、海外の文化遺産を守る議員立法をつくるときにも、その中に何とかそのことを担保できるような法整備ができないか等々も、自民党の皆さんとも検討をしたこともあるんですが。
  この台湾の国立故宮博物院が、仮に日本で美術展をやる、展示会をやるといって、開くことはできると思うんですけれども、仮に、それを他の国が、おれたちのものだという形で請求をしてきたときに、それはきちっと台湾に戻すことは間違いなくやれるということでよろしいんでしょうか。

○岩屋副大臣 先ほどもお答えいたしましたように、そのことを担保する国内法上の制度はないわけですけれども、これは信義の問題でもございますし、お借りしたものはきちんとお返しをするということでございます。

○笠委員 そういう法的な担保がないだけに、改めて大臣にも御確認をしたいんですが、しっかりと、これはもう特定しております。台湾のケースです。それでもしっかりと台湾に戻すということでよろしいでしょうか。

○麻生国務大臣 何年か前でしたか、鈞窯の皿が出たんだと、こっちに、国立博物館でしたかね、京都だったかに貸し出されたと記憶しますが、あのときもきちんと返却をされております。
  ただ、そのときに他国から、それはもともとは、明ですから、二千百年前はおれたちのものだったという意見が来たかといえば、そういうことはございません。

○笠委員 本当に一部だったらあれですけれども、大々的なそういう美術品の展示展などをやった場合には恐らくそういうことも起こり得るかもしれないので、きょうは文化財の議論でしたので、ちょっと確認をさせていただきました。
  改めて申し上げますけれども、条約を結んだ後に、ちょっと私もまだまだ見えてこない部分があるんです、これは議論していても。まだ政府の中でも、どういうものを本当に指定していくのかとか、あるいは、とりわけ外務省、防衛省を中心に、本当に武力事態に、あってはならないんですけれども、あってはならないことが起こったときに、そのときに、まず文化財を守ることなんて最優先じゃないですよね、恐らく。まずは人命だと思いますので。
  だから、平時から、先ほどのブルーシールドの掲示であるとか、さまざまできることはやっておいて、ひとつ、具体的にしっかりと守っていくことができるような、省庁を超えた対応をお願いして、私の質問を終わらせていただきます。